劇場公開日 2005年11月12日

「「親切」の衣を着せた強(したた)かさ。」親切なクムジャさん talkieさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0「親切」の衣を着せた強(したた)かさ。

2024年8月10日
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鑑賞方法:DVD/BD

服役中も、他人(他の服役囚)に親切にできるほどの余裕を持つことができたということは、それだけ、クムジャが心の奥底に秘めた英会話講師・ペクへの復讐の念が固かったからということなのでしょう。
出所後の他の服役囚たちの協力が得られるようにとの計算も、彼女にはあったのかも知れませんけれども。

それでも、彼女の親切が、結果として他の服役囚たちの協力を呼び起こしていったと見るのが妥当なように思われます。
評論子としては。

結果として、被害児童の親たちにも、復讐のチャンスを作ってあげるほどの、彼女の「親切」も、その決意の固さの成せる業(わざ)とでもいうべきでしょう。

彼女の「決心の硬さ」から来る彼女の所為の「恐ろしさ」のほか、少しく「捻(ひね)りの利いたサスペンス」としては、そこそこの良作の範囲には置くことのできた一本だったと思いました。
評論子は。

(追記)
服役中から復讐の決意を固めてきたクムジャでしたけれども。
しかし、復讐からは本当の心の(魂の?)救済は得られなかったというのは、彼女にしてみれば割り切れない矛盾だったことだとは思いますけれども。

復讐からは何も生まれないという監督からのメッセージが、そこに含意されていたとみるのは、評論子の穿(うが)ち過ぎというものでしょうか。

(追記)
韓国では、子供の行方不明(誘拐)少なくないらしいですけれども。
「かつて」か「現在でも」かは、決して韓国の国内事情に明るくはない評論子には分かりかねますけれども。

しかし、身代金目的にしろ、労働力としてにしろ、そのことをテーマとした作品は、数多く製作されて公開されているとは承知しています。

評論子がいま住んでいる街でも女子高校生の行方不明事件が発生しており、事件の発生は2001年なのですけれど、彼女が最後に目撃された大型ショッピングセンター近くのバス停には、彼女の(当時の)写真入りで、情報提供を呼びかける立て看板が設置されていたりもしています。

それでも、比較的には治安のよい国に生まれ育って、いまも生活していられることの僥倖を、評論子は思わずにはいられません。

(追記)
極限状態にある人たちの精神状態を活写することに長けている監督さんなのでしょうか。
本作のパク・チャヌク監督は。

そういう中でも、ある種のユーモアを交えながら。
そんな作風の監督さんとお見受けしました。
評論子には。

本作は、評論子が観てきた作品でいえば『別れる決心』『JSA』などを手懸けた同監督の手になる、『復讐者に憐れみを』『オールド・ボーイ』と並ぶ、いわゆる「復讐三部作」の一本となる作品だそうです。

そういう雰囲気を感じさせないタイトルとは裏腹に、本当に怖い、怖い一本でした。
これからご覧になる方は、タイトルのニュアンスには騙されることなく、相応の覚悟を決めて鑑賞することを、いちおうお勧めしておきます。

talkie