「逆転の発想に差別はいらない」キンキーブーツ(2005) Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)
逆転の発想に差別はいらない
倒産寸前の靴工場を相続した若社長とそれを新規事業改革でサポートするドラッグクイーンの黒人歌手との友情を描いたコメディ映画。脚本、演出、演技とすべて丁寧に創られた佳作。登場人物の人としての温もりと演出のサラッとしたタッチがいいバランス。イギリス映画らしい人生の応援歌としての良さもあり安心して楽しめる。導入部の語り始めの編集とタイトルバックの映像がいい。クライマックスのミラノの見本市のショーに結び付く話の流れも無理がない。役者では、ドラッグクイーンのローラを演じたキウェテル・イジョフォーのキャラクター表現が傑出していて、彼の存在が作品の品格を上げる。社長と従業員の関係性、社長と婚約者のすれ違い、解雇した女性社員とのエピソード、そして黒人歌手ローラに向ける男性社員の偏見と和解まで、脚本がやるべきことを忘れずキチンと拾っているのも好感が持てる。
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