キリング・ミー・ソフトリー : 映画評論・批評
2002年2月1日更新
2002年2月23日より日比谷スカラ座ほか全国東宝洋画系にてロードショー
ああ、こんな男になら、目で殺されたい
陳凱歌のハリウッド進出作が、官能サスペンス。それだけで意外なのに、さらに驚くべきことに、その実態は爆笑映画だった!
いや、確かに導入部のエロスはすごい。ジョセフ・ファインズとヘザー・グラハムの濃厚SEXシーンもさることながら、顔そのものが猥褻すれすれのジョセフがアブなすぎ。そのフェロモンに、これまで彼は濃すぎるとバカにしていた多くの日本女子が、掌返しでのぼせ上がっている。でも、それも当然。スポーツマン、そのうえセレブに弱い女心を、この作品はものすごーく的確につかんでいるのだから。
このセンスなら、女が共感する「女のセクシャリズム」を描くのも夢じゃなかったのだが、チープなサスペンスを絡めたおかげで台無しに。見始めた映画と見終わった映画は、まるで別物。愛と性の深い淵を覗こうとしたのに、覗ききる勇気がなくて、サスペンスに逃げた印象を与えるのはイケマセン。それとも、製作サイドはもともと「氷の微笑」を狙っていたのに、ジョセフが素晴らしすぎるがゆえに観客にあらぬ期待を抱かせたのか。
でも、出来損なったサスペンスには失笑しても、ジョセフの色香はけして褪せない。ああ、こんな男になら、目で殺されたい。そう思わせるだけで、成功か?
(杉谷伸子)