過去のない男のレビュー・感想・評価
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じわじわ来るおかしみ
ヘルシンキに到着した男が暴漢に襲われ、記憶喪失になってしまう。親切な一家と救世軍の女性イルマの世話で、仕事を得て何とか生活できるように。彼はイルマに惹かれるようになって。
監督が描くいつものとぼけた感じと使われるムード歌謡に、じわじわ来るおかしみがクセになります。クレージーケンバンドの曲も使われていて、監督がファンとのこと。ハンニバルという名の”猛犬”が、とても人懐っこいのも楽しい。結局記憶が戻らないけど、元の自宅に帰ることができる。しかし、その後の行動が良かった。「トータルリコール」を思い出しました。
そうなのかぁ、、、
アキ・カウリスマキ監督作品の魅力に、どっぷりハマってます。
怪我をしていて、記憶がないと言えば、まず警察でしょ…と思いつつ、でも観ていたら、警察の何と酷い事か!でも、今の日本も、、、
見捨てられているのに、見捨てない人々は尊い。だんだんと気力を取り戻して行くさまも良かったです。愛の力は大きいと思いました。
『この世では神の慈悲ではなく自力で生きねば』
『この世では神の慈悲ではなく自力で生きねば』
『救世軍』と言えば、高校の時、500円を拾った。さぁどうしたものか?一緒にいた友達が『救世軍』だったので、警察に届けず『なんとか鍋』に寄付をした。つまり『救世軍』に寄付をした。僕はその友人をののしった。それから一ヶ月は経過しなかったと思う。その友人と帰宅途中、誰もいない野原の真ん中で、別の高校のク●ガキにカツアゲされた。お金を持っていたのは僕で、その金額が500円だった。『救世軍』の友人に『ありがとう』ってお礼を言われた。50年近く昔の話なので、詳細は確かでないが、事実である。
さて、『救世軍』の音楽だって良いよね。ポール・マッカートニーの曲で好きな曲もう一曲あった。『夢の旅人』だ。この曲を聞くと、『兼六園』を思い出す。小型カセットに録音したその曲を聴きながら、金沢の街を歩いたのを思い出す。そして、何故か、その時には行っていないが後になって行った『東尋坊の崖』と『夢の旅人』に出てくる『キンタイア岬の崖』が重なって記憶に焼き付いている。
曲調は救世軍である。
独特
十数年ぶりに鑑賞。
なんか、コンディションの問題なのかわかんないんだけど、初めて観た時よりも、わー独特だナー、、と感じました。
ただ単に登場人物がみんな良い人でほっこりするっていうユートピア的な世界ではなくて、ちゃんと善玉悪玉まざってるんですよね。比率的には、善玉多め?
最初に主人公を介抱してくれる、海辺のプレハブ小屋に住む夫婦の奥さん、特に良い人。あらすじには「極貧」て書いてあることが多いんだけど、子供二人いて旦那の仕事週2っていうけど旦那がヘソクリでビール飲む余裕あって、って、極貧か…? 恵まれてるの、旦那の仕事もあるし。って本人も言ってるし、どっちかっつーと治安が悪くて失業率が高そう、街全体の。見てると。
でも定食屋?カフェ?の人とか、優しい。こういうとこに、のどかさが出てるのかな。
超、金にがめついおっさんが飼ってる犬(メスなのに名前がハンニバル)が、かわいい。ハンニバル超かわいい。もっとハンニバルのシーン増やしてほしかった(笑)
そのがめついおっさんからかなりな額で借りてるプレハブ小屋を、いつ立ち退きになるかわかんないのに綺麗に掃除して、直してもらったジュークボックスも置いてカスタマイズする主人公。拾った?冷蔵庫をテーブル代わりに、海辺のおっさんと修理工の兄ちゃん?にスープを振る舞う主人公。男3人が黙々とスープを啜ってるだけなのに、なぜだろう、面白い(笑)
そして小屋の近くにタネイモを植えて芋畑をつくる主人公。
化粧っ気の無さそうな救世軍のイルマが、主人公にほっぺチューされた後、慣れない化粧品をおずおずと試してみるシーン。いいっすね。
爆笑する感じではないし、登場人物たちも大体みんな真顔なんだけど、なんかクスッと笑えるシーンが都度、ある。
記憶喪失は大変だが、その後も、ものすごいドラマが、起きそうで起きない。起こったと思っても、あっという間、あるいは、あっけない幕引き。でも、そんなもんかもしれない。収穫した芋を譲る譲らないの交渉をしてるだけなのに、なんか見入ってしまう。神は細部に宿ると言うが、とどのつまり、そういった現実の一大事の連続が人生なんだろうね。なんつて。
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