「モンスターvsモンスター・ペアレント、夢の対決。頼むから静かにしてくれ。」ジュラシック・パークIII たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
モンスターvsモンスター・ペアレント、夢の対決。頼むから静かにしてくれ。
遺伝子操作により蘇った恐竜たちが引き起こす大騒動を描くSFパニックアクション『ジュラシック・パーク』シリーズの第3作。
前作から4年。アラン・グラント博士は研究費用捻出の為、恐竜が棲息するイスラ・ソルナ島を空から観察したいという大富豪、カービー夫妻のツアーガイドを引き受けることに。島には絶対に立ち入らないという約束だったのだが…。
脚本は『ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!』(監督/脚本)の、名匠アレクサンダー・ペイン。
恐竜島のガイドを依頼して来た大富豪の妻、アマンダ・カービーを演じるのは『バッドボーイズ』『天使のくれた時間』のティア・レオーニ。
製作総指揮はスティーヴン・スピルバーグ。
テーマ音楽はジョン・ウィリアムズ。
『1』(1993)の主人公だったグラント博士が再び登場するも、シリーズの監督を務めてきたスピルバーグは降板。また、音楽もジョン・ウィリアムズから『マトリックス』(1999)のドン・デイヴィスに交代してしまっており(テーマ曲は引き続き使用されているが)、正統続編でありながらなんか番外編感が漂う。
以上の理由もあってか、世間的にはあまり評判が芳しくない本作。なのであまり期待せずに鑑賞したのだが、結論から言えば結構楽しかったっ😆
そりゃあ大傑作の『1』とは比べ物にならないけど、2つの映画を無理矢理くっつけたような『ロスト・ワールド』(1997)よりは断然良い作品だったと思います。
まず、本作はランタイムがちょうど良い!
『1』と『ロスワー』がどちらも120分以上の長尺だったのに比べ、これのランタイムは90分程。このコンパクトな尺は作品の背丈にピッタリと合っており、シリーズ随一のスピード感を生み出している。
本作の目玉でもある、新恐竜スピノサウルスvsティラノサウルスのガチンコバトルを、出し惜しみする事なく序盤から見せてくれたのは好印象。その後もテンポ良く映画が展開していくので、退屈している暇がない。パニック映画斯くあるべしっ!
恐竜たちの怖さも、本作はかなり真に迫っていた。
まず言及したいのは、やはりスピノサウルスちゃん。ティラノサウルスを即殺してしまうほどの戦闘能力を有している上、水中を移動することも出来るという間違いなくシリーズ最強のモンスター!🦖無線電話を飲み込んでしまった為、近づいてくると♩♪♫〜♪♫と音がする。完全に「ピーター・パン」のチクタクワニのパロディなんだけど、やっぱりこの設定は秀逸。まずは音によって恐怖感を煽りっておいて、いざ振り向いてみるとそこには…😱という古典的ながら最強のホラー演出を、本作は上手く扱いこなしていたと思う。
スピノサウルス以上に怖かったのは、こちらも初登場となる(モブとしては過去作にも登場していたけど)翼竜プテラノドン🐤🪺
てか、プテラノドンの顔ってめちゃくちゃ怖くないですか!?何考えているかわからないし、なんかヌルッとしているし、めっちゃデカいし、飛ぶし…。ひ〜〜〜っ!!何から何までキモい!怖い!!霧の中からプテラノドンがのっしのっしと現れてきたら、自分だったら気絶しちゃう。とにかく、本作はこのプテラノドンのキモ怖さが全開になっており、非常にハラハラドキドキすることが出来ました。
そういえば、ジョン・ウィリアムズ先生のテーマ曲のおかげでなんか壮大な感じになっていたクライマックスシーンだけど、冷静に考えるとプテラノドンが外の世界へと飛び立っていったのって無茶苦茶ヤバくないっすか!?『鳥』(1963)ならぬ『プテラノドン』という映画が1本作れそう…。
パニック映画としてはとてもとても楽しめました♪…が、人間サイドのパーティーメンバーにはとにかくイライラが募る💢
スピルバーグ映画で必ずと言って良いほど描かれる「家族愛」。今回もバッチリ描かれており、それを主軸として物語は展開する。いやいや、ちょっと待て。自分の子供可愛さに何人の人間を巻き込んだんだこのクソモンスター・ペアレントはっ!?
何から何まで自業自得な上にギャーギャーと大声をあげまくるし、誘拐してまで連れてきたグラント博士の言うことを一切聞かんし、マジでなんなんだこの夫婦!?
特にオカン!このオカンはアカン!美人だということ以外、何一つとして好感が持てなかった😅早く喰われないかなこのアマ…、と思っていたら最後まで生き残りやがった!SHIT!!
脚本もどうなんだこれ?
大前提として、プロのハンター軍団が壊滅してしまうほどヤバい島であるイスラ・ソルナ島を、子供1人だけで2ヶ月間も生き延びられるのか?子供が生き延びられる程度のヤバさなんだったら、『ロスト・ワールド』での阿鼻叫喚はなんだったのか。
最後に海兵隊が助けに来るというのも…。
じゃあ最初から子供を救出する為に出動してくれよ!!
そもそも、『ジュラシック・パーク』って『1』で完結している。その後の物語を描いても蛇足になるだけだし、どうしてもマンネリ感が出てしまう。
この『Ⅲ』も、確かに恐竜パニック映画としては楽しめるのだが、お話の焼き直し感は半端ないし、無理矢理に付け足された人間ドラマパートは茶番にしか思えない。
『1』では大いに驚かされたCGIやアニマトロニクスも、『Ⅲ』にもなると新鮮味は失われてしまう。
というか、今回あんまりCGの出来が良くなかったような気がする…。もうちょい頑張れたんちゃう?
ボックスオフィスを見てみると、本作は9,300万ドルの予算に対して3億6,000万ドル以上を稼ぎ出しており、数字的に大ヒットしているのは間違いない。しかし本作を最後に『ジュラシック・パーク』シリーズは一旦休眠状態に入る。やはり製作陣も、このままシリーズを続けていくことに限界を感じていたのだろう。個人的には楽しめたが、まぁこの辺りが潮時でしょうね。
この後、『ジュラシック・パーク』シリーズは約15年の眠りを経て『ジュラシック・ワールド』(2015)として復活する。『パーク』から『ワールド』へと、タイトルだけ見るとスケールが一気に広がった感じがするが、果たしてその内容はどうなっているのでしょうか?引き続き恐竜ウォッチングを続けて行こうと思います👀
