ジュラシック・パークIII : 映画評論・批評
2001年8月1日更新
2001年8月4日より日本劇場ほか全国東宝洋画系にてロードショー
こうしてハリーハウゼンの<魂>は引き継がれていくのだ
こだわりを持っている監督が好きだ。それはその映画に記される監督のサインのようなもの。なるほど、彼がメガホンをとったからこういう映画になったんだとわかる個性と言っていい。この夏の話題作「ジュラシック・パークIII」の監督に抜擢されたジョー・ジョンストンは「ロケッティア」や「遠い空の向こうに」等で、飛ぶことへのこだわり、大空へのロマンを伝えた人。この恐竜シリーズ最新作でも、そのしっかりとサインを残している。「このチャンスを逃すと、もう二度と扱えないと思った」という翼竜ことプテラノドンの描写だ。
いや、そのかっこいいことといったら! 水面から獲物(って人間ですけど)をわし掴みにして飛び上がる姿、岩壁のあいだを旋回する姿、親子らしき3頭が並び、大空を飛ぶ姿。彼らの恐ろしさはもちろん、美しさだって伝わってくる。
しかもその絵はかつてレイ・ハリーハウゼンらがモデルアニメでやっていたものに酷似。恐竜たちの魅力を伝えていた彼らにジョンストンはオマージュを捧げているのだ。技術に差はあれど、こうやって<魂>は引き継がれていくんだと嬉しくなった。
(渡辺麻紀)