JSAのレビュー・感想・評価
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トランプも越えた38度線
最初に地上波で見て以来、久しぶりに鑑賞。思えば、ソン・ガンホとイ・ビョンホンという二大スターを誕生させたこの映画。しかも監督はパク・チャヌクだ。『オールド・ボーイ』での暴力シーン全開とまでは行かず、かなりメッセージ色も強いことがよくわかる。
1999年10月28日午前2時16分。11発の銃声。二つの死体。答えは藪の中なのか!こんなにわかりづらく作らなくてもいいものを・・・なんて考えてもみたのですが、イ・ヨンエという美人女優をスイス監視委員会兵士としてわざわざ起用するため、興行成績を上げるために映画っぽい作りにしてあると冷めた目で観てしまっていた。
それでも序盤の推理とサスペンス。どれが本当の話なのかわからないまま、真実が描かれていく。地雷の恐怖。さらに一発触発である境界線なのに、緩いところもあり、そこから始まる友情物語なのです。
38度線によって分断された同じ民族。しかし、国家や政治を抜きにしてみれば、やはり兄弟なんだということが痛いほどわかる。南北統一したいという気持ちや、分断させられたのはアメリカなんだという反米意識も伝わった。しかし、いい話にもかかわらず、自殺という手段で決着つけようとすることには賛同できず、ラストでは統一したいと願う観客を裏切っているのではないのかと疑ってしまった。
切ないけど完璧な映画
板門店で誰にも知られずに友情を育む4人の男の物語。実際の話としては...
板門店で誰にも知られずに友情を育む4人の男の物語。実際の話としては4人のとっていた行動はあまりにも軽率すぎるとも思えるけど、国境を越えた友情物語としてとても考えさせられる話だった。
苛烈な独裁体制のなかで、しかも徹底した洗脳教育があるなかで、南北の和解というのはとても難しい状況にあるのは事実。だとしても両国ともに、平和的な統一を求めているのもまた事実なのだろう。小競り合いが本格的な衝突に発展しないこと。それが何より重要で、それは現実の状況とも重なる。
休戦の緊張状態がいよいよ戦争の局面を迎えるかもしれないという昨今の状況、悪い国家は滅ぼせばいいという安易な考えで、方法としての戦争に訴えるということがなにを意味しているのか、日本に住む僕たちは改めて考えなくてはいけないだろう。
独裁者がいかに偽善的で、いかに凶悪なものであったとしても、勇ましいだけの戦争論には明確にノーを突きつけるべき。体制の転覆や民主的な国家体制への移行だけでなく、半島の平和的な統一がなされた後に想いを馳せても、分断がもたらした両国の溝を埋めていく作業が困難を極めることは想像に難くない。考えるべきことはたくさんある。
テレビで流れている北朝鮮(軍人)の情報はそれが全ての事実ではなく、...
仲間。
人間同士がやる戦争
38度線の最前線で、南北の兵士が交流する。しかし、将校に見つかり二人が死亡した。事件の真相を韓国系スイス人将校が追う。
人間同士が闘う戦場では、日露戦争であれ、第一次世界大戦であれ、現場で自主休戦があり、敵味方が暫し交流をしていたという。南北朝鮮でも敵味方の兵士が交流してもおかしくはない。
しかし、無人機攻撃や弾道弾ミサイルなどの戦争では、人間的な側面がまったくない戦いとなるのだろう。
人間同士が直接手をくださない戦争によって、当事者の葛藤はなくなりその意味では悲劇的な感情はなくなるだろう。そのとき、どのようにして戦争が終わるのだろうか。当事者の感情が戦争をとめさせるのではないだろうか。
● 悲しい友情 ●
韓流映画は数える程度しか見ていないんですが、良作が多いようですね〜。
これは事後から始まるストーリー。
前半は無邪気で楽しそうなシーンが多く、背景を考えると切なくなります。
中盤から食い違う証言の理由が明らかに。
お互いが相手を守る為にも、本当の事は知られてはいけない。
境界線の傍の部屋でのシーンが切ないですね。
ラストが本当に悲しい。
彼は罪悪感から逃れる為に、自分の中で記憶違いをしていたのか?
彼女の最後の一言が無ければ、違うラストだったのでしょうね。
今尚見る価値ある秀作
日本公開されたのは11年前!時が経つのは早い。
「シュリ」で韓国映画が注目され始めた頃。
「シュリ」が韓国映画もハリウッドに劣らぬ娯楽大作を作れる!と知らしめたのなら、韓国映画の“質”を知らしめたのはこの「JSA」だろう。
韓国と北朝鮮の境界線=“JSA”。
そこで韓国兵が北朝鮮兵を射殺する事件が発生。
事件を調査するも、当事者である両国兵の証言が食い違う。
真相に迫るにつれ、両国兵の“許されざる友情”が浮かび上がる…。
2人の韓国兵と2人の北朝鮮兵。
決して接触してはいけない者同士の友情が見る者の心を揺さぶる。
国と国が睨み合いを続けていても一人一人は人間同士。友情が生まれても決して不思議ではない。
翻弄され続ける姿が物悲しい。
4人が無邪気に遊ぶシーンは切なく儚い。
イ・ヨンエ演じる中立国監査委員会の調査員にとっても、はからずも自身のルーツを知る事になる。
未だ緊張関係が続く境界線。
今見ても古びる事無く、見る価値がある秀作。
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