劇場公開日 2001年5月26日

JSA : 映画評論・批評

2001年5月15日更新

2001年5月26日よりスカラ座1ほか全国東宝洋画系にてロードショー

本国でメガヒットを記録。緊迫の政治サスペンス

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今、ハリウッド映画の次に興行力が見込まれる韓国映画。もちろん「シュリ」の功績だが、その後もサイコ・スリラー「カル」から、大胆に性を描いた「Lies/嘘」など、バラエティに富んだ作品群が公開されている。

そして、最大の話題は韓国で「シュリ」を超える記録を持つ、この「JSA」だ。南北を分断する北緯38度線。その境界線にある板門店は、以前武力衝突があったことで日本でも知られる地名。この作品は、そこで起こった事件を北側の視点、南側の視点、そして真相という、3つの物語として描いていく。構成としては現在と過去の回想が複雑に絡み合い、多少混乱する感も否めないが、導入部分をサスペンス、そして友情のドラマへと昇華させる監督の手腕は見事。さらに、これ見よがしなBGMを極力排除し、時には縦横無尽なカメラワークと、雪や月明かりを効果的に使った美しい屋外ロケが、作品の哀切さを訴えてくる。最終的には国家を超えた男同士の友情を描いているため、悲恋にアクションにと満載だった「シュリ」に比べ地味というのは簡単だが、知的好奇心を充足させる点ではこちらに圧倒的に軍配が上がる。まさに日本人がいま観るべき映画、「パール・ハーバー」の100倍は為になることは確かだ。

(編集部)

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