劇場公開日 2002年9月21日

イノセント・ボーイズ : 映画評論・批評

2002年9月17日更新

2002年9月21日より日比谷みゆき座ほか全国東宝洋画系にてロードショー

少年期の苦みがヒリヒリ

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宣伝文句に「21世紀の『スタンド・バイ・ミー』」とうたわれているようだが、本質的にはかなり異なる映画だと思う。「スタンド・バイ・ミー」のように見る者を甘い感傷で満たしてくれるようなものではない。大人への階段を上る少年時代の話ではあるが、もっとヒリヒリとした苦みが効いているのだ。

70年代の、カトリック学校の生徒たちが主人公。といっても、ここには少年たちの普遍的な「現実」がある。「現実」を見ているつもりで、そうではないという「現実」が。抑圧された彼らは表面的な現実に幻滅し、コミックや危険ないたずらに逃避する。彼らが描くコミックの中で、厳格なシスターは極悪非道な「尼ゴジラ」。しかし、シスターは本当に人非人なのか? いや、彼らは現実を理解するには、あまりに未熟なのだ。

確かなのは、そんな未熟な彼らにとっての「現実」が、鮮やかに描かれているということ。その心情を言葉で語らせず、「スポーン」のトッド・マクファーレンによるコミック・アニメで表現しているのだが、これが抜群にいい! だいたい、少年期を振り返って「ヒリヒリ」しない人がいる? もし確信が持てないなら、ぜひ、この映画で確かめてほしい。

若林ゆり

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