「コンプレックス、鎧、愛」イン・ハー・シューズ 77さんの映画レビュー(感想・評価)
コンプレックス、鎧、愛
〈in O's shoes〉に文字通り靴たちを絶妙なスパイスとして利かせた、監督の手腕がキラリと光るタイトルと物語でした。
どんな人も、そうは見えなくても普通に笑っていたって、何かを抱えているもの。
と同時に鎧を着てなくても、武器を持たなくても、受け入れてくれる場所も必ずあるもの。
そういう場所に辿り着くために人生ってある気がします。そのために大切な周りの人を、そしてごまかしのない裸の自分を大切にしたいなと今一度考えさせられる映画でした。
私自身が二人姉妹なのもあってかなんだかすごーく染みました。
きょうだいって不思議な距離感ですよね。同じ屋根の下で同じ物を食べ同じ空気を共有しながら育った"のに"とも、"から"とも度々感じる。それは親子とも友達ともパートナーともライバルともどこか違う面白い関係で。
似てるところ似てないところ。きょうだいの数だけ色んな関係があると思うけど、先に生まれたがゆえの"上あるある"や後に生まれたがゆえの"下あるある"もあったりする。
映画の中にもそれを感じて、うちは妹の方が堅実で迷惑かけっぱなしなんですが、ああ私やっぱり一応"姉"なんだなぁと改めて思ったりしました。 次は妹と観たいです。というかこのDVDとかわいいパンプスをプレゼントしたい気分w
私の中では4.5以上が自分にとってスペシャルな映画になるのですが、途中までの秀作4.0がエラのキスシーンから後の流れで一気に傑作4.5になりました。その辺りからの二人(姉妹)は本当に綺麗で(ただ綺麗なんじゃなくて内面から美しいがゆえに外面も美しい感じ)輝いてました。
あとはコミュニティーのおじいちゃんおばあちゃんの暖かいシーンの数々。何回も泣かされました、さすが人生の先輩です。
「墓まで持ってくよ、明日にでも入りそうだしね」といってエラの話を聞いてあげるシーン、マギーのコンプレックスをほぐいてくれた博士とのやりとり(キャメロンの演技素晴らしい!お孫さんの「マギーかい?」にも涙腺崩壊)、明るい一コマにも温もりがたくさん詰まってておじいちゃんおばあちゃんパートは特に良かったです。
一つだけダメ出しすると、難読症についてはアナウンサー面接で匂わす程度じゃなく早い段階でそれについて喧嘩する、ローズが勢い余って心ないことを言っちゃう、くらい掘り下げても良かったかな?と思いました。あの時点で縁切られてもおかしくないほどマギーにしか非ないのは映画として、、というのも含めてw
後天的なものでプライドで言ってない風にも取れたし、昔から知ってるから最後の朗読が余計ローズに響くという風にも取れたので、明言があるともっとこちらにも伝わったのになーとその一点だけ惜しかったです。
なんにせよ女優陣の演技、またそのキャスティングが本当に素晴らしい作品でした。