劇場公開日 2003年10月25日

「納得感のあるラスト」“アイデンティティー” といぼさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5納得感のあるラスト

2020年10月6日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

TSUTAYAで面白そうな映画を探していて、パッケージが目に付いたこの作品をチョイス。
内容についての事前知識は全くありませんでしたが、タイトルは聞いたことあったし、レビューサイトの評価も高かったので結構期待していました。

結論、面白かった!!
私好みの「どんでん返しもの」というのもありますが、全編通して続く恐怖の演出や、誰が犯人なのか・どのように犯行を行なっているかのミステリー要素が面白く、あまり中だるみも無く楽しむことができました。細かいところで結構突っ込みどころもありますし不満点もありますけれど、そこまで気にならず楽しめました。

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大雨によって道路が寸断されてしまい、片田舎のモーテルに立ち往生している10人の男女。全員が様々な事情を抱えており、どこか裏がある様子。そんな中で次々と殺人事件が発生する。犠牲者の近くには必ず部屋のキーが落ちており、それは10号室の鍵から順にカウントダウンしているようだ。通信も交通も断絶されたモーテルで、元刑事であるエド(ジョン・キューザック)は犯人の捜索を行なうことになった。
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ストーリーだけ見れば、ありきたりなクローズドサークルもののミステリー映画です。
しかし、犯人を追う主人公的キャラクターとして、元刑事で今は女優の使用人をしているエドが活躍しますが、この作品はエドだけではなく登場人物全ての視点からストーリーを描きますので、「特定の登場人物に感情移入して鑑賞する」というのができないような構成になっているのが1つの特徴でしょうか。
ミステリー映画に付き物の「名探偵」はこの作品には登場しないので、犯人の捜索を行なっているエドに対しても「こいつが犯人なんじゃないのか?」という疑念を抱くことになります。これが、ハラハラした展開が持続する上手い表現だったと感じました。

また、「単なるミステリーじゃないな」と感じるシーンとして、作中に何度か「超自然的現象」が発生することです。
例えば、移送中の囚人が逃走したシーン。作中には輸送中に大雨で立ち往生した警察官と囚人が登場しますが、動けないようにしていた囚人がトイレの配管にくくりつけていた手錠を配管ごと外して逃走します。大雨の中をモーテルを出て逃走していったのに、しばらく走ると何故かまた同じモーテルに辿りつきます。この時点で、「これ普通のミステリーじゃないな」と何となく感じさせる雰囲気がありました。

今作の一番の魅力である「衝撃のラスト」については、「マジかよ」という驚きと「なるほど」という納得感があったので、非常に私好みの素晴らしいラストシーンだったと思います。

ストーリーの展開が単調で盛り上がりに欠けていたり、登場人物の行動にイマイチ理解できない部分があったりするなどの細かな不満点はありますが、問題なく満足できる映画だったと思います。
オススメです!

といぼ:レビューが長い人