“アイデンティティー” : 映画評論・批評
2003年10月15日更新
2003年10月25日よりニュー東宝シネマほか全国東宝洋画系にてロードショー
超絶のラストが観客を待ちかまえている
「とにかく見て、感想を教えてくれ。こんな映画、前例ないと思うんだけど、ミステリー小説のほうじゃどうなんだ?」。
先に「“アイデンティティー”」を試写で見た友人が、開口一番言った言葉がこれだった。言われて試写に行った筆者も吃驚仰天。こんなむちゃくちゃな大どんでん返しのあるミステリー小説なんて、どこにもないはずだ!
嵐の夜、アメリカならどこにでもあるような田舎町のモーテルに、偶然集まることになった10人の男女。彼らが、一人、また一人と残虐な手口で殺されていく。犯人は誰で、その動機は何なのか? まったく無関係にしか見えない宿泊客たちの意外な共通点とは?
とまあ、導入部から展開部までのあらすじだけを抜き出せば、本格ミステリーにはありがちな「嵐の山荘」ものの類型にあてはまるのだが、とにかくクライマックスで判明する真相がとんでもない! 一応伏線を張ってはいるものの、フェアとかアンフェアとか、言うのもバカバカしくなる超絶展開が観客を待ちかまえているのだ。
感心する人、怒る人、反応はさまざまだとは思うが、みんな驚かされることは間違いない怪作。あなたもぜひ自分の目で確かめてほしい。
(堺三保)