劇場公開日 2002年6月8日

「吐くほど泣いた」I am Sam アイ・アム・サム Croさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5吐くほど泣いた

2024年5月6日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

幸せ

いつも感動ポルノは冷笑しながら俯瞰して観てるのだが、「はい感動ポルノどストレートパーンチ!」って感じではなく、押し付けた感動ではないジャブやフックをいつの間にか喰らってる、みたいな感覚に陥る。

リタが自分の気持ちをサムに打ち明けるシーンとか、ルーシーに手紙で気持ちを伝え「あの歌のように愛してる」と読むシーンとか、吐くほど泣いたけど「感動ポルノアッパー!」みたいなのじゃなく、泣かせよう泣かせようみたいな思惑が感じられないのがいい。

サムは「不変であり愛してること」を親の理想として挙げたけど、サムは一貫して変わることなく自身の父親としてできる限りのことをルーシーに与えようとしてきた。例えばリタのように不倫され怒りを子にぶつけるという"環境によって変化してしまう人間としての弱さ"を超えて、決して知能が高くなく周りと違う父親だとしても"サムという父親像"は決してルーシーにとって変わらないものであるようにい続けた。絶対に不変の愛を与えてくれる存在であることが、ルーシーにとって何より大切なことだと。

そしてその姿勢が、健常者であるはずのリタを救った。障がいのあるなしなど関係なく、愛が人を支え合うものだということを、決して言葉が闊達ではないサムが表現しているからこそ、嫌味なく素直に受け取れる。ビートルズの曲を引用して自分の気持ちを伝え代弁してもらうシーンこそまさにそれを表現していると言えるだろう。

とにかく全員の演技も上手くて(特にサム)、音楽も素晴らしい。いい映画に出会えてよかった。

Cro