仄暗い水の底からのレビュー・感想・評価
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日本ホラー映画史に残る力作
天井のシミ、赤いカバン、行方不明者の貼紙、エレベーターの監視カメラ、よく見かける少女の姿、蛇口から出る髪の毛、部屋の水びだし…映像のルックが素晴らしい。そして、それらの恐怖体験は離婚を原因とする将来不安や、調停により娘が取られてしまうかもしれないという母親の心理的不安から来た錯乱であったと観客を誘導しておいて…のラスト、それらの現象は物理的に説明され過不足なく回収される。
過去にマンションの屋上の給水タンクに落ちて亡くなった女の子が母親を探しているという悲しい霊だった。
海外でリメイクが作られるのも納得の出来ばえ。
リング、らせんのブームの中で、さらにその先に行こうとした意欲作で、不安、悲しみ、苦しみ、恨みなどを通して人間を描こうとした製作陣全体の意気込みに感動すら覚えた。
ホラー映画を怖かったかどうかだけで判断する人や、映画視聴経験の少ない人には評価が低く星は少ない傾向にあるようだが、日本ホラー映画史に残る作品であることは間違いない。
ラストの怖さの点数※こどもはこの映画は観ないでほしい
今から21年も前のホラー映画です。
黒木瞳さんが美しい。
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母と幼い娘はある集合住宅へ越してきます。
ところが寝室の天井からなぜか、
シミができ水が滴ってくるではありませんか。
これが2人の幸せな生活の
終わりの始まりでした。
母娘家族の生活は
水と何者かに侵食されていき、
最後は何よりも大切な娘が
危険な目に遭ってしまいます。
母親は慌てて娘を抱きしめながら
家を飛び出し、
エレベーターで階下に行こうとしますが、
自宅の玄関から出てきたのは自分の娘、郁子でした。
…え? じゃあ、今自分が抱いてきた女の子は…?
そう思い、恐る恐る振り返る母親。
そこには……。
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その女の子は、美津子ちゃんでした。
美津子ちゃんは、昔、
主人公たちが住む集合住宅の屋上にある
貯水槽にのぼりました。
なぜか貯水槽の蓋は開いており、
身をかがめた時、美津子ちゃんの
大切な赤いカバンが、貯水槽の中に
落ちてしまいました。
美津子ちゃんは必死でした。
小さな手を伸ばし、さらに身をかがめたのです。
そして、
誤って転落し、
そのまま浮かび上がってこなかったのです。
ずっと…仄暗い水の奥底に沈んだ肉体は、
すでにグズグズに崩れ、
肌の色は土左衛門色にくすんでしまい、
変わり果てた幼い女の子が
母を求めて、泣きながら突進してくる
あのエレベーターでのシーンは、
心臓が凍り付かんばかりの恐怖と、
胸が張り裂けそうな悲愴にさいなまれます。
でも、どうしても郁子さんの気持ちに
寄り添ってしまい、
ラスボスの美津子ちゃんには、
可哀想ですが、かなり腹が立ってしまいました。
連れて行く相手を間違えてます、と…。
また美津子ちゃんは意地が悪い…、
7階まで必死に上り、エレベーターの前で
悲しみのあまり座り込む郁子さんに対して
あろうことか汚い水をぶちまけたのですから…。
まるで「もうあなたのお母さんじゃないから
あっちにいって!!」
と、突っぱねたようです。
(お母さんを手に入れるという勝利に酔いしれた、
彼女の身勝手さと傲慢さ、
そして、年相応の
幼さが伺えました…。)
このお話は、怖いよりも、
悲しさが目立つホラー映画だと感じます。
点数を高くつけてしまいましたが、
人には勧めたくない映画です…。
エンディング曲は、懐かしい、
スガ シカオさんの「青空」です。
何故離婚に至ったのか?
その説明がなくて、離婚協議中の展開。
明らかに不安定な黒木瞳演ずる淑美とその娘郁子 の新生活の酷さから始まる。
住み始める住宅も七階建ての大きさはあるものの、セットらしい汚ならしさ(笑)が素晴らしい。正直こんなマンション住みたくない(笑)
管理人の爺の胡散臭さ、徳井優の如何にも適当な不動産屋のセット…追い込まれた人でなきゃあんな所で住みたくないよね。
天井から垂れてくる汚い水、赤いカバン、行方不明の美津子ちゃん…とか気持ち悪いのだが、直接的ではないので、「なんか気味が悪いなぁ」程度である。
ストーリーも淑美の妄想や幻覚を見せられているのでは?と疑いながら見てしまう。
明らかに淑美の不安定感は統合失調症のソレだ。
子どもが出来るまで大手出版社で働いていたはずだが辞めている。その後不安定になり夫とは不和になったのではないかと思う。
統合失調症患者への理解がある時代ではない様子からも大揉めに揉めたのは想像出来る。
娘の郁子ちゃんも独語(独り言)が酷かったようだから、郁子ちゃんも何かあるのかもしれない…と。
だが、何でかよーわからん感情移入が発生して、淑美が美津子の仮の母になる…と言う訳のわからん展開に比べると他の事は些末な事である。
散々「ママは郁子といっしょ」とか言っておきながら、幼稚園のお迎えは遅刻三昧、肝心な時は郁子から目を離し、果てはロクに知りもしない亡霊幼児に取り憑かれて郁子から離れていく。
ラストも唐突に10年経過し、郁子も高校生になっているのに…ボロボロのマンションに入り込んで「ママずっとここに住んでたんだね?」とか言ってる。
淑美だけじゃなくて郁子も妄想の世界にいきてるのか?となってしまった。
正直、とんでも映画の類いである。
あまり、他人に勧めようとは思わない映画であった。
リメイク作品のほうがわかりやすい
以前観たときにはそれほどのものを感じなかったが、リメイク版『ダーク・ウォーター』を観た後にまた観ると違った映画のようにも思える。
最初から主人公淑美の精神科に通っていた事実が明らかにされているので、「この女性は狂ってるんだ」などと先入観を植え付けられてしまう。逆に、郁子の一人遊びを中心として、不明な点、矛盾点がリメイク版では解決されているために、このオリジナルの穴ばかり気になってしまう。
そして、ラストの行動に出る黒木瞳の心理変化がさっぱりわからないのも欠点。これも『ダークウォーター』を観るとよくわかる。最初に観たときに全くわからなかったくらいだ。理解できないから、恐怖感も薄い。10年後の映像によって、物語全体を振りかえって理解できるだ。
10年後のシーンがやたらと長いし、初めてあったような母親を前にして、あんなにポンポンと台詞が飛び出す脚本も疑問だ。
決め付けは良くなかった。
シンプルに。
ホラーなんだけど、母子が離れ離れになり後に再開した時、寂しい別れ方なのかも知れないけど、郁子(菅野莉央)にしてみれば欠けていた記憶を補う事が出来、ある意味この結末だからこそ良かれ悪かれ次に進める事が出来るのではないか、と感じた。
なんとなく見たのでハッキリ覚えて無いシーンも多いが、恐怖感を感じるよりも心を揺さぶられる印象を受け、単純に怖いのを楽しむ為だけのホラー作品、とは言えないと思った。
以前高評価を受けたと聞いていたが、確かに作品自体からは好印象を受けた。
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