仄暗い水の底からのレビュー・感想・評価
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トッピングが無ければシンプルな良作ホラーなのに
2024年10月19日に観ました。
原作は鈴木光司。『リング』を初めて観た日の衝撃と恐怖は今でも忘れません(笑)
本作も恐怖表現に水を用いています。
幼い娘を連れたシングルマザーがようやく見つけた集合住宅。明らかに空気が澱んでいて薄気味悪い建物です。
建物のロビーのソファには犬を抱いたマダムの姿。管理人さんは絵に描いたようなおじいちゃんです。このマダム達は冒頭に登場するのみで、その後姿を現すことはありません。
転居した一室の天井のシミ。雨漏り。蛇口から噴出する濁った水。なにより突然オーバーラップする小さい女の子の映像。
シングルマザーは離婚調停中で、元夫と娘の親権を争っています。精神的に不安定で、引っ越してから度々起こる不吉な出来事も、本人の精神的な問題と解釈されて孤立無縁になります。
この場所で一体何があったのか。孤立したシングルマザーが活路を見出すことはできるのか!?といったお話です。
101分と言う妥当な尺ながら、中弛みを感じてしまう作品でした。フラッシュバックなどで同じシーンを繰り返されてしまうと、どうしてもしらけてしまいます。
音で怖がらせるのもどっちらけです😑
今回観ることが出来て良かったですが、もう観ることはなさそうです。
母の愛
離婚調停中の母子が引っ越したマンションで失踪した女の子にちょっかいかけられる話
母親の精神異常による幻覚か本当に怪異による現象なのかどっちになるのかを期待しながら観てたが普通に素直な作品だった
最後に娘を守るため失踪した女の子に寄り添うが自分の娘を放っておくことが母の愛なのか疑問である
日本ホラー映画史に残る力作
天井のシミ、赤いカバン、行方不明者の貼紙、エレベーターの監視カメラ、よく見かける少女の姿、蛇口から出る髪の毛、部屋の水びだし…映像のルックが素晴らしい。そして、それらの恐怖体験は離婚を原因とする将来不安や、調停により娘が取られてしまうかもしれないという母親の心理的不安から来た錯乱であったと観客を誘導しておいて…のラスト、それらの現象は物理的に説明され過不足なく回収される。
過去にマンションの屋上の給水タンクに落ちて亡くなった女の子が母親を探しているという悲しい霊だった。
海外でリメイクが作られるのも納得の出来ばえ。
リング、らせんのブームの中で、さらにその先に行こうとした意欲作で、不安、悲しみ、苦しみ、恨みなどを通して人間を描こうとした製作陣全体の意気込みに感動すら覚えた。
ホラー映画を怖かったかどうかだけで判断する人や、映画視聴経験の少ない人には評価が低く星は少ない傾向にあるようだが、日本ホラー映画史に残る作品であることは間違いない。
何故離婚に至ったのか?
その説明がなくて、離婚協議中の展開。
明らかに不安定な黒木瞳演ずる淑美とその娘郁子 の新生活の酷さから始まる。
住み始める住宅も七階建ての大きさはあるものの、セットらしい汚ならしさ(笑)が素晴らしい。正直こんなマンション住みたくない(笑)
管理人の爺の胡散臭さ、徳井優の如何にも適当な不動産屋のセット…追い込まれた人でなきゃあんな所で住みたくないよね。
天井から垂れてくる汚い水、赤いカバン、行方不明の美津子ちゃん…とか気持ち悪いのだが、直接的ではないので、「なんか気味が悪いなぁ」程度である。
ストーリーも淑美の妄想や幻覚を見せられているのでは?と疑いながら見てしまう。
明らかに淑美の不安定感は統合失調症のソレだ。
子どもが出来るまで大手出版社で働いていたはずだが辞めている。その後不安定になり夫とは不和になったのではないかと思う。
統合失調症患者への理解がある時代ではない様子からも大揉めに揉めたのは想像出来る。
娘の郁子ちゃんも独語(独り言)が酷かったようだから、郁子ちゃんも何かあるのかもしれない…と。
だが、何でかよーわからん感情移入が発生して、淑美が美津子の仮の母になる…と言う訳のわからん展開に比べると他の事は些末な事である。
散々「ママは郁子といっしょ」とか言っておきながら、幼稚園のお迎えは遅刻三昧、肝心な時は郁子から目を離し、果てはロクに知りもしない亡霊幼児に取り憑かれて郁子から離れていく。
ラストも唐突に10年経過し、郁子も高校生になっているのに…ボロボロのマンションに入り込んで「ママずっとここに住んでたんだね?」とか言ってる。
淑美だけじゃなくて郁子も妄想の世界にいきてるのか?となってしまった。
正直、とんでも映画の類いである。
あまり、他人に勧めようとは思わない映画であった。
リメイク作品のほうがわかりやすい
以前観たときにはそれほどのものを感じなかったが、リメイク版『ダーク・ウォーター』を観た後にまた観ると違った映画のようにも思える。
最初から主人公淑美の精神科に通っていた事実が明らかにされているので、「この女性は狂ってるんだ」などと先入観を植え付けられてしまう。逆に、郁子の一人遊びを中心として、不明な点、矛盾点がリメイク版では解決されているために、このオリジナルの穴ばかり気になってしまう。
そして、ラストの行動に出る黒木瞳の心理変化がさっぱりわからないのも欠点。これも『ダークウォーター』を観るとよくわかる。最初に観たときに全くわからなかったくらいだ。理解できないから、恐怖感も薄い。10年後の映像によって、物語全体を振りかえって理解できるだ。
10年後のシーンがやたらと長いし、初めてあったような母親を前にして、あんなにポンポンと台詞が飛び出す脚本も疑問だ。
決め付けは良くなかった。
シンプルに。
ホラーなんだけど、母子が離れ離れになり後に再開した時、寂しい別れ方なのかも知れないけど、郁子(菅野莉央)にしてみれば欠けていた記憶を補う事が出来、ある意味この結末だからこそ良かれ悪かれ次に進める事が出来るのではないか、と感じた。
なんとなく見たのでハッキリ覚えて無いシーンも多いが、恐怖感を感じるよりも心を揺さぶられる印象を受け、単純に怖いのを楽しむ為だけのホラー作品、とは言えないと思った。
以前高評価を受けたと聞いていたが、確かに作品自体からは好印象を受けた。
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