仄暗い水の底からのレビュー・感想・評価
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古い団地の恐さ+水の恐さ
古い団地は恐い。最近だとクロユリ団地とか。団地って建物の管理に金をかけない場合が多くて、古くなると外観も周り地面もどんどんボロボロになっていく。草木も荒れ放題でだんだん薄暗くなり、照明も壊れてもなかなか直さない。高齢者比率が高くなり人気も減る。
そんな団地の恐さに、水の恐さが加わる。人は水に本能的な恐さを感じるが、この監督はそれをうまく引き出している。こういう本能的な恐さを引き出すのはやはり日本の監督のほうがうまい。
母子家庭の生き辛さ
離婚調停の親権争いのさなか、お財布に余裕がないためちょっと難ありの物件に引っ越す母娘。うすら暗い団地で人気がない。そのうち階上から水漏れが。ドアを開けると一面水びたし。少女が行方不明になり、父母も失踪した部屋だった…
淑美は過去に精神を患ったこともあり、仕事もない。親権争いには不利。必死で仕事を探すけれど、郁子は幼稚園のお迎えに間に合わずひとり門の外で取り残されている。次第に行方不明の少女が郁子に接触しだして…
「怖い」というより、「悲しい」作品でした。子供を育てながら働かなくてはならない現代女性の問題をが背景に盛り込まれています。自立したくても自立できない、仕事を探し出しても「子供」がいるためにおじゃんになってしまう。裕福な父親が実家に連れ帰り母親に面倒を見させるため、娘は取られてしまいそう…むしろ怪奇現象よりそちらのほうがはらはらと心配でした。
結局淑美は娘のために身を呈して少女の霊に連れ去られるのを承諾。郁子はふとしたことで昔の団地を現れ、母親の姿を見つける。「パパ再婚するから、ママと暮らしたい」とふりかえると空っぽの部屋。ひどく寂しい結末です。ハリウッドリメイクではこの寂寥感がまったくなかったです。心が痛くなりました。
ロケ地は京王線「つつじヶ丘」南口。神代団地がモデルかな?
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