春の雪のレビュー・感想・評価
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原作を読んだものとしては…
原作を読んだものとしてはひどいの一言につきる。
竹内結子、妻夫木聡の演技に文句をつけるつもりはない。
ただ、脚本、演出がひどすぎる。
原作のセンセーショナルな部分だけを、ぽんぽんと配置しましたという印象が強い。
綾倉伯爵と蓼科の会話と関係は、原作の中ではかなり後半で暴露されることで、豪華な食事の隠し味をこっそり表現したようなもにすぎない。メインではないのだよ。それを映画の冒頭にもってきて不穏感をあおる演出には、肯定できないし、この映画の方向性を示しているようで、いきなり、がっかりした。
それに物語の中心的役割を果たす、本多の軽さはひどいでしょう。本多は剣道なんかはしませんて。清顕と同じで、ずっと内省的な青年ですよ。とはいえ軟弱ではないし、行動力のある、聡明な青年なのですよ。この辺は演出、演技指導が間違っているということでしょう。
この濃密で緻密な原作を、2時間の映像に納めることは非常に難しいとは思いますけど、できないのであれば、やめればいいのである。
三島文学への冒涜である。
原作のファンとして
原作を読んだものなら分かる、
三島由紀夫の紡ぐ言葉があまりにも美しいのです。
「春の雪」原作を読むだけでも本当に体力の使う作品です。それを映像化するとは…。
妻夫木さん演じる松枝
か弱く卑屈で物語を拗らせる
それでもまだまだ足りない
竹内さん演じる聡子
表情や声色だけでなく指先の動きまで麗しい
それでもまだ足りない
高岡さん演じる本多
これは純粋に人選ミス感が強い
松枝に対する崇拝が全く感じられない
(高岡さん原作読んでないのでは?)
ただ、松枝(妻夫木さん)の端正な顔立ちや弱々しさを引き立てる要素にはなったかもしれない
脇を固める俳優陣
どちらかというとこちらの演技が素晴らしかった
人間の想像し得る限界の美しさを表現する
三島文学に挑んだ作品。
あまりに他者の評価が低く驚きました。
その多くが原作を読んでないのではないか?
清顕が身勝手で腹立たしい?
それが清顕ですよ。
私はこれを映像化した製作陣に感謝したい。
一つ言っておきたいことは、
春の雪は豊饒の海四部作の第一部
でもこれ、第二部以降を製作する気無いですね。
清顕の3つの黒子を本多が見つけるシーンが無いことが残念でした。あぁ、この映画は第二部「奔馬」を製作する気はないのかと。
輪廻転生を描く作品を第一部のみで終わらせたら、それはただの1人の人生劇です。
だとしても、この映画は美しい。
純愛と言えるのか?
純愛なんだろうか?聡子にとっては純愛だったのかもしれないが。清顕はどうなんだろう?幼い頃から好きだったようだが、聡子に思わせぶりな態度をとりながら手紙は読まずに燃やしたり、親友の本多に付き合うように勧めてみたり、聡子に宮家との縁談が決まると、会って会っての押しまくり。自分勝手にもほどがある。
聡子の父親も腹立たしい。娘の縁談が決まったら、娘の好きな相手と関係を持たせるようにと蓼科に指示する。処女じゃない娘を嫁に行かせて、それが相手への復讐だと考える。なんてオヤジだ、娘の幸せなんてこれっぽっちも考えない。まあ、あの当時の娘の存在意義、家と家との道具扱い。
清顕の父親もひどいよね。息子が嫁入り前の娘に手を出して、妊娠させておいて、相手に、相手の親にも謝ることもせず、おろすしかないだろう、おろせおろせと迫る。クソオヤジです。
清顕も腹立たしい。もう2度と会わないと覚悟を決めて出家した聡子に未練がましく会いに行く。しかも叔父の仏壇に備えてあるお金を祖母にも内緒で盗んで、、、せめて自分の💰で行きなよ。クズすぎる。
本多が。いい友人でよかったね。聡子がいちばん可哀想。
確かこの映画は竹内結子が最初の結婚で妊娠中だったような記憶が。妊娠中でのラブシーン、辛いでしょうに。
でも、竹内結子の美しさがこの映画の見どころでは。着物(帯や半衿の刺繍や髪飾りなど)などもとても美しく、ドレスも、当時の時代の建物や家具、馬車など、視覚的にはとても素晴らしかった。
久しぶりに死なない竹内結子を見ることができて安心した。と思っていたら清顕の夢の中で死んでるではありませんか!!
今回はできちゃった結婚というおめでたいニュースが飛び交っての公開となった映画。死んでしまったらさすがに縁起が悪いけど、堕胎というシビアな内容のためか、顔色も良くないように思われる竹内結子。四季の変化とともに顔色も変化していったように感じたのですが、気のせいでしょうか。撮影がアジア映画で大活躍するリー・ピンピン。自然美を撮らせれば超一流なのですが、人物になると弱いような気もします。彼の作品ではベトナム映画の『夏至』が好きです。
原作は三島由紀夫。国粋主義者で割腹自害した彼は、人間的には好きになれないが、小説は美しく素晴らしい・・・いつも途中で挫折してますが。そんな彼の遺作となった“豊饒の海シリーズ”四部作の第一巻「春の雪」。華族社会を舞台に家を重んじる両家の確執の間で、運命に翻弄される二人。しかし、清顕の自業自得のような気もするし、蓼科の計らいで上手く逢瀬を続けられたのです。問題があったとすれば、キンゼイレポートが発表される以前の話だということと、避妊の知識もなかったことなのだろう。
夢日記、蝶、百人一首、と伏線も充実していて映画としても面白いのですが、清顕の心情変化が上手く表現できていなかったりして、竹内結子の演技が際立っていたような気がします。清顕の親友本多(高岡蒼佑)も終盤ではいい演技を見せてくれたのですが、田口トモロヲに美味しいところを持っていかれたしまったのが残念でした・・・
観た直後、日本アカデミー賞では衣装デザイン賞が確実なんじゃないか?!と思ったのですが、そんな賞の部門はないようです。多分、撮影賞、音楽賞をもらうんじゃないでしょうか。
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