ハードキャンディ : 映画評論・批評
2006年7月25日更新
2006年8月5日よりシネマライズにてロードショー
危険な匂いを漂わせるエレン・ペイジに萌え
アイデアがユニークでも、監督や役者の技量が伴わなくて、面白さは尻すぼみ。それ以前にストーリー自体が尻すぼみ。そんな作品は山ほどあるが、現代の赤ずきんの狼退治は、その三拍子がすべて揃った掘り出し物。ロリコン男の罠にかかったと見せかけた少女ヘイリーの正体も明かされないまま、男の自宅という密室状態で繰り広げられる1対1の攻防はスリリング。○○○○も縮みあがる制裁にのけぞらせたり、このゲームの決着をどうつけさせるのか展開そのものにもハラハラさせたり。
ロリコン男への制裁というひとネタだけで一気にラストまで突き進める脚本にも、洗練されたビジュアルセンスを見せる演出&編集にも才気が溢れているのだが、本作の大きな魅力はヘイリー役のエレン・ペイジ。14歳という少女を当時17歳のペイジが演じることで醸し出される妙な色気が、アブない題材にマッチ。子供のくせして、いや子供だからこその男への媚びを視線にのぞかせて、なんとも危険な匂いを漂わせる才能には思わず興奮。この感覚って「ケープ・フィアー」のジュリエット・ルイス以来。新たな才能の出現に映画ヲタなら、絶対に萌え。でも、本当のロリコン男はヘイリーには萌えないのか?
(杉谷伸子)