劇場公開日 2004年3月13日

花とアリス : 映画評論・批評

2004年3月2日更新

2004年3月13日より日比谷スカラ座2ほか全国東宝系にてロードショー

これは恋愛映画じゃなくて岩井的記憶論なのだ

ハナとアリスの牧歌的な友情時代に終止符が打たれる。きっかけはハナの初恋。そう、同性の友情を壊すのは、いつだって異性への恋心なのだ。ハナは、先輩は私に愛の告白をしたけど、その後で記憶喪失になっちゃいました……とウソをつき、人のいい先輩は「そうなの?」と半信半疑ながら彼女と付き合うが、アリスの方に恋愛感情を抱き始める自分に気づかされる……。

僕らの時代の映画はやたら「記憶」にこだわるが、この作品は岩井俊二的記憶論だ。ハナは相手の記憶を書き換えることで意中の彼を恋人にしようとする。その後のアリス絡みの展開は、いや、そうじゃなくて、やはり恋愛は嘘がなくてピュアなものなんだよ、と思わせるようで、いや実は……とドンデン返しが準備されるのだから、これは純愛映画ではない。岩井の視点はもっと(いい意味で)イジワルなのだ。恋愛は記憶と同じくらい曖昧だけど、そんなら恋愛なんて止めようと思う人がいるだろうか? 人を好きになると、相手を自分のものにしたくなるし、そのためには平気で騙したり、洗脳したりする。そんな純粋とは言い難い曖昧な感情を、僕らは恋愛と呼ぶのだ。

(北小路隆志)

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