「青春の構成要素は…いかに恥をかいたか、なんじゃない?」ハチミツとクローバー ダース平太さんの映画レビュー(感想・評価)
青春の構成要素は…いかに恥をかいたか、なんじゃない?
恋をする5人の美大生、それぞれの想いが行き違う様を描いた本作は、いわゆる青春というものを不器用ながらも、極めて正しく描いた何とも憎めない佳作だ。
惜しむらくは、登場人物5人、それぞれを丁寧に描いたために生じたテンポの悪さと、物語の語り部が複数いるために生じる分かりづらさ、といったところか。欲張り過ぎているために観客が感情移入をしづらいのだ。とは言ったものの、誰もが通ったであろう“青春”という人生の一時期を温かい視点で見つめる物語は、どこまでも優しい。
また、物語のミューズとなる天才少女に扮した蒼井優を筆頭に、芸術的な才能は平凡なものの、好きな人を思う気持ちはどこまでもまっすぐな主人公に扮した櫻井翔や、その同級生役で、これまた不器用な恋を繰り広げる加瀬亮、関めぐみ。そして、かつて彼らと同じ道を歩み、今は学生を見守る教授となった堺雅人や西田尚美など、役者陣がいちいち魅力的なので、ただの佳作として斬って捨てられないのだ。でも、伊勢谷友介だけは大根……なので減点。
ちなみに、主役の竹本が恋のライバルである森田の個展に訪れる時の服装は、紺ブレにパーカーだ。それはつまり、青春とはいかに多く恥をかいたか、ってことなんじゃないだろうか? 言い切る自信はないけれども。
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