劇場公開日 1954年4月26日

「さすがの脚本。ハリウッドが真似をしたのはわかる」七人の侍 p.f.nagaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0さすがの脚本。ハリウッドが真似をしたのはわかる

2024年2月12日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

興奮

知的

集落を守るために侍を七人集めて、数に勝る野武士を知力でやっつける、という全体の構成が素晴らしい。侍の中心になる勘兵衛(志村喬)、狂言回しであり道化役でもある菊千代(三船)、優れた剣技の久蔵ら、魅力的なキャラクター設定もよく練られている。話の展開がハリウッドにリメイク版を作らせるほどなわけで「さすが」と思った。

農民をただおろおろするだけの弱い存在ではなく、したたかさを描いているところが作品の深みを感じさせる。人の価値は強さだけで測るものではないし、ずる賢くても命をつないでいくことなど、人間はいろいろな側面があるということだろうか。

ラストシーンで晴れやかに田植えをしている姿は、壮絶な戦いで勝利したことを「過去のこと」と振り返らず、今の目の前の仕事に集中するしたたかさを示しているのだろう。窮地を救ってくれた侍を「ただの強いやつ」と忘れてしまっているかのよう。
また、この集落の人々が過去に落ち武者狩りも行っていたことがわかり、それを菊千代が大演説をして「ただの弱いやつらではない」と説明するシーンも印象的。

1点減点は、上映時間が長いこと。特に勝四郎と志乃のラブシーンはなくても良いと思った。

p.f.naga