「深いドラマと華麗なアクションの和合。」グリーン・デスティニー image_taroさんの映画レビュー(感想・評価)
深いドラマと華麗なアクションの和合。
20年以上前の公開当時に観た時には、ワイヤーアクションの方に気を取られ、そのどこか過剰にも見える在り方に少々食傷気味になったのを覚えている。宙を舞う時の、空中を走るような動作にどこか滑稽な感じを抱き、その不自然さに戸惑いを隠せなかったのである。
しかし、随分と歳を重ねてから改めて観てみると、華麗なアクションシーン以上に、どのように生きるのかという人の矜持、そこに向けての人の想いと葛藤など、人の生き様の方に痺れるようになった。熟成したキャラを演じるチョウ・ユンファとミシェル・ヨー、未熟さを体現したチャン・ツィイーのキャラクターとそれを取り巻く人々の対比は、案外私たちの現実にも符合するところがあると気づけば、決して現実離れしたドラマではないと気づくだろう。そういう武侠ドラマを、アクションを通しながら単なる時代物にとどまらない普遍的な人間ドラマとして成立させたところに、本作の凄みがあると思う。娯楽アクション映画と捉えてしまったら、そんな風には見えまい。長い時を経てなお、もう一度評価されるに値する作品である。
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