仕立て屋の恋のレビュー・感想・評価
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ピーピングトムとゴダイヴァ夫人な訳でしょ?気持悪い
『裏窓』の出歯亀オヤジの身の程知らずな暴走。
純愛ではない。切なくもない。
演出の上で一つだけ問題がある。最初に殺された女性と覗かれている女性の区別がはっきりしていない。だから、殺すまでの経緯を表していると見ていた。
兎に角、こんな変態親父は日本には少ない。問題は『オタク』をこの延長上と見るのが問題。孤独な者も孤独な老人もこんな理由分からない若者に翻弄される事はない。
恋をしてしまうような女性には見えないが。
『男は所詮肉欲でしかない。』と言ったことを表現したいのなら、女性をもう少しきちんと描いてもらいたいね。
こんな稚拙な女性もいない。
やはり、爺のダンディズムが払拭されていない。
さすが、フランス映画♥
悲劇のはずなのに滑稽
コミュケーション力が乏しく思い込みの激しい「覗き」男とクソ男と婚約している「覗かれる」美女の恋愛。サスペンス要素あり。
最後のアリスの表情がいい。「一生を捧げる」と言ったなら罪を被って、その言葉が嘘でないことを証明して欲しいと思ってるように感じた。
アリスの気持ちを聞かずに話を進めるイールといい、どちらも自分のことしか見えていない。だから悲劇のはずなのにどこか滑稽。
鼠の演出がいまいち理解できなかった。
あれってどういう意図なんでしょう?
短くて見やすいけど、見ても見なくてもいいかな。
【”人付き合いの苦手な中年男の密やかなる愉しみと、それ故の深い深い哀しみ。”悲し過ぎる「裏窓」ヒューマンバージョンである。中年男が愛した女性を想うが故のラストには涙が零れます・・。】
<Caution!内容に触れています。>
■仕立て屋のイールは、腕は確かだがアパートの住人との人付き合いが上手く出来ない中年男である。
彼の密やかなる愉しみは、向かい側の部屋に住む女性・アリスの私生活を覗き見ること。
ある日、突然イールは若き女性の殺人事件の容疑者にされる。
彼を問い詰める刑事。
だが彼だけが、犯人はアリスの婚約者エミールであることを知っていた。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作はとても切ない、孤独な中年男のラブストーリーである。
・イールは、自宅近くで若き女性が殺された事件の犯人を知りつつも、向かい側の部屋に住む女性、アリスを愛するが故に真実を刑事に話さないのである。
■イールが行く、所謂、娼婦宿。
だが、彼はアリスを知ってからは娼婦たちとは肌を重ねないのである。
・イールはそんな事情を知りつつ、アリスに別の土地に逃げようとその家の鍵を渡すのであるが・・。
ー イールのアリスに対する”そんな男と一緒に居ては駄目だ!”という想い。
だが、それはアリスには伝わらなくって・・。
彼が、無実なのに、追われて屋根から落ちるシーンはちょっと、いや、かなり涙が零れます・・。ー
<今作の存在は知ってはいましたが、恥ずかしながらの初鑑賞であります。
(正直に言えば、観ていたと思っていた。)
イールを演じたミシェル・ブランの抑制しつつも、アリスに対する想いが籠った演技には涙が溢れる作品です。>
1990年頃にはこれが純愛で健気というか仕立て屋の献身的な愛見えた...
1990年頃にはこれが純愛で健気というか仕立て屋の献身的な愛見えたのか?
私には拗らせオヤジのキモキモ勘違い映画に見えるで
特に公共の場でのお触りシーンなんて鳥肌モノやし
どの場面でも下心がなんとなく垣間見れてキモポイント多め
利用されてて可哀想というよりかは、
勝手に盛り上がって先走り過ぎてて怖〜って思ってまうな
うだつが上がらない規範
古今東西において、ハゲでチビで陰キャな中年男性はうだつが上がらないものらしい。そんな典型的な主人公が、向かいのアパートに住む女性の日常を覗いていることから事件に巻き込まれ、非業の死を遂げるお話。
日本で公開された当時、私は大学生でした。当時交際していた彼女と映画館で見た記憶があります。彼女がパトリス・ルコント監督に心酔していた時期でした。それから30年近くの年月が流れ、一人で鑑賞しました。まるで心に響くものがないのは、当時と相変わらずでした。おそらく、淡々とした感じの映画が好みではなく、官能的と言われるジャンルも得意ではないため、この作品に心動かされることが無いのではないか、と自己分析しています。
愛は自己愛
ある女性の部屋を覗き見している男。
男は覗き見していた女のことをいつの間にか愛するようになります。
男の愛は日に日に大きくなり、「私の人生を捧げる。」というところにまで膨らんでしまいました。
男は女への「愛」という思い込みにより自滅し、女は男からの「愛」という思い込みを利用します。
なぜそれほどまでに、男は女を愛したのでしょう。なぜそれほどまでに、男は女に執着したのでしょう。
パッとしない人生を全て捧げるほどの原動力を男は欲していました。原動力は「自己愛」を満たしてくれます。女は自分の人生を変えてくれます。
だからこそ、彼は女への愛が必要だったのではないでしょうか。
ルコントは一貫して、愛は「自己愛」であるということを描いてきました。男女は潜在意識の中で、自己愛を満たす道具として存在しています。
愛という幻想によって、男は一瞬だけ夢が見られました。一瞬だけでも夢が見られるのも、愛がなせる技なのです。
覗きの代償
偏屈な仕立て屋のイールは周囲と馴染めず孤独な毎日をおくる。
そんな彼の唯一の喜びは、美女アリスの部屋を覗くこと。
出来心で覗いた彼は、彼女の秘密を目撃してしまう。
そこから、彼はアリスへの愛と共に転げ落ちてゆく・・・
彼のたたずまいはハゲで背が低くてどこか微笑ましい。
本能的に愛せなと前提された男でも女は賛辞を甘んじて受ける。
虚栄心を満たしてくれる男に対価として女の中を泳がせるのだ。
アリスは女を総動員し、彼を愛の喜びで満たし翻弄する。
まるで食べない獲物を弄ぶ猫のようだ。
彼自身の屈託のない愛に満足し、悔いはなければ良いが。
ラストは観客の心臓を直にわし掴むような疼きで支配される。
映像・音楽・演出が秀逸で監督のこだわりを感じる。
恋に殉じた男
思いを貫く男とも言える。外見は物静かで普段着のトラディショナル・スーツ姿が彼という人を物語っている。ある事件から周囲の人にも受け入れられず、一見人間嫌いのような風情でいて、しかし内面はそれとは裏腹に、静かに決して消えることのない慕情を人に対して抱き続けている、そんな印象を受けた。
アリスとのこともそうだが、大切に飼育していたハツカネズミを、線路の上に餌をばらまき、ケージの扉を開けて逃がしたあのシーンが強烈で、忘れがたい。彼はそういう人なのだと思わせてくれた。
この作品は殺人の犯人探しのサスペンスが絡んではきているが、それ故にアリスも仕立て屋もその犠牲の悲劇性を拭えない。
が、そんなことはこの際どうでも良い。
ひとりの男の恋の在り方に観客は打ちのめされるのだから。
窓を介しての「見つめる」「見られる」この繰り返されるシーンがどきどきしながらも、美しかった。ブラームスの静かな音色にのせて、冷たい空気感の中に身を置く男、あるいは女の悲しみが美しかった。
ルコント作品、やはり良いです。(3.8点)
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