仕立て屋の恋のレビュー・感想・評価
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官能を感じるとすればナイマンの音楽だけ。
本当にごめんなさい。
切ない恋、純愛とか言われる「仕立て屋の恋」なんですが。
官能とか、耽美とか言われる「仕立て屋の恋」ですが。
主人公が健気で、愛嬌があるとか、可愛いとか言われたりする「仕立て屋の恋」ですが。
ごめんなさい。
もう、何度観ても鳥肌しか立たない。
今日も観なくちゃいけなくて、観たけど。
やっぱ、鳥肌。うわわわって思ってしまう。
特に、イールがボクシング観戦中に、アリスの腕とか、ブラウスの隙間に指を入れるところとか、もう、本当に、本当にぞくぞくする。
生理的に、無理。
本当にごめんなさい。
あと、イールが娼婦とのエッチの仕方とか語るとこ、もう悲鳴しか出ない。
ごめんなさい。
好きな男の為とはいえ、アリスよく我慢できたなぁ。
酷い女とか言われますけど、いやだってイールだもの。
頑張ったって!
官能を感じるとすれば、ナイマンの音楽だけです。
覗きの代償
偏屈な仕立て屋のイールは周囲と馴染めず孤独な毎日をおくる。
そんな彼の唯一の喜びは、美女アリスの部屋を覗くこと。
出来心で覗いた彼は、彼女の秘密を目撃してしまう。
そこから、彼はアリスへの愛と共に転げ落ちてゆく・・・
彼のたたずまいはハゲで背が低くてどこか微笑ましい。
本能的に愛せなと前提された男でも女は賛辞を甘んじて受ける。
虚栄心を満たしてくれる男に対価として女の中を泳がせるのだ。
アリスは女を総動員し、彼を愛の喜びで満たし翻弄する。
まるで食べない獲物を弄ぶ猫のようだ。
彼自身の屈託のない愛に満足し、悔いはなければ良いが。
ラストは観客の心臓を直にわし掴むような疼きで支配される。
映像・音楽・演出が秀逸で監督のこだわりを感じる。
恋に殉じた男
思いを貫く男とも言える。外見は物静かで普段着のトラディショナル・スーツ姿が彼という人を物語っている。ある事件から周囲の人にも受け入れられず、一見人間嫌いのような風情でいて、しかし内面はそれとは裏腹に、静かに決して消えることのない慕情を人に対して抱き続けている、そんな印象を受けた。
アリスとのこともそうだが、大切に飼育していたハツカネズミを、線路の上に餌をばらまき、ケージの扉を開けて逃がしたあのシーンが強烈で、忘れがたい。彼はそういう人なのだと思わせてくれた。
この作品は殺人の犯人探しのサスペンスが絡んではきているが、それ故にアリスも仕立て屋もその犠牲の悲劇性を拭えない。
が、そんなことはこの際どうでも良い。
ひとりの男の恋の在り方に観客は打ちのめされるのだから。
窓を介しての「見つめる」「見られる」この繰り返されるシーンがどきどきしながらも、美しかった。ブラームスの静かな音色にのせて、冷たい空気感の中に身を置く男、あるいは女の悲しみが美しかった。
ルコント作品、やはり良いです。(3.8点)
ルコントさん、病んでます
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