劇場公開日 1992年7月17日

「監督は「『仕立屋の恋』は、愛の欲望について…『髪結いの亭主』は、欲望の成就を描く…」と語ったが…」仕立て屋の恋 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0監督は「『仕立屋の恋』は、愛の欲望について…『髪結いの亭主』は、欲望の成就を描く…」と語ったが…

2023年3月19日
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鑑賞方法:TV地上波

新宿TOKYU MILANOビルに建替られる、
かつての旧新宿ミラノ座ビル内にあった
“シネマスクエアとうきゅう”での
約30年前のロードショー以来の鑑賞。

また、奇しくも同じ原作者による、
ルコント監督作品「メグレと若い女の死」の
公開新聞記事も目の当たりにして
興味深く再鑑賞し始めた。

ロードショーで購入したパンフレットには、
ルコント監督自身の解説として、
「『仕立屋の恋』は、愛の欲望について…
『髪結いの亭主』は、欲望の成就を描く…」
とあった。

恋愛に縁遠い仕立屋が、覗き相手の女性が
寄り添ってきても身を引いていたのに、
彼が積極的になった途端、
犯罪者の恋人との間で気持ちが揺れる彼女に
裏切られて死に至る、という、
何とも哀れな結果の愛の欲望物語だった。

冒頭では、仕立屋は異常人格者かも
との匂わしもあったが、
内向的ではあるが、実は実直で
真面目な人生を送っていたのかも知れない、
覗き見ることになった
向かいのアパートの女性を目にするまでは。

だから、異性関係の薄かった男性が、
たまたまの女性に盲目的に恋心を抱いた悲劇
と言わざるを得ないが、ラストシーンでの
彼の彼女への「少しも恨んでいない…」
という科白と、
逃げて転落死する展開なんて、
とても私の理解を超えているし、
どこにも、そして誰にも
救いのない皮肉なストいーリー展開に、
共感出来る要素は何も無く、
ただただ特異なルコントタッチを
感じたままだけで
鑑賞を終えてしまった印象だった。

KENZO一級建築士事務所