劇場公開日 2025年2月7日

「余韻が残る、上質なハードボイルド報道ドラマ」グッドナイト&グッドラック シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0余韻が残る、上質なハードボイルド報道ドラマ

2025年2月9日
iPhoneアプリから投稿

赤狩りの嵐が吹き荒れる50年代のアメリカで、マッカーシー議員に真っ向から反論したTVのニュースキャスター達の気概を描いた社会派作品で、今の日本のTV業界人に見習ってほしい内容です。赤狩りの影響で不当解雇された予備役兵の問題を番組で捉え、さらにマッカーシーへと追及していくキャスター、プロデューサー、スタッフ達の勇気ある姿にジーンときます。赤狩りの連中のように声を荒げることもなく、淡々と事実を積み上げコメントを出して締めとするキャスターのスタンスは報道のプロとしての矜持が感じられカッコいいです。全編にわたって抑制の効いたクールなタッチが非常に効果的で、ハードボイルドのような魅力があります。助演、脚本も兼ねる監督のジョージ・クルーニーの腕前の確かさを感じました。TVをただの機械の詰まった箱にしてはならないと言う、最後のスピーチも余韻を残します。役者では、キャスターのマロー役のデビッド・ストラザーンの代表作とも言える名演です。視線やセリフの間の取り方が絶妙で、締めのセリフにシビレました。脇を固める役者も充実していて、スターのオーラを抑制したジョージ・クルーニーもさることながら、ロバート・ダウニー・Jrがよかったです。社則に反して同僚と結婚していたことを理由に会社から遠回しに自主退職を勧められた後の奥さんとの短いやり取りが、これまたクール。

シネマディクト