17歳のカルテ : 映画評論・批評
2000年9月1日更新
2000年9月2日より恵比寿ガーデンシネマほかにてロードショー
思春期に悩んだ人も、悩まなかった人もご一緒に!
私は誰、ここはどこ? アイデンティティ・クライシスに陥ったティーンたちの心の声は、いつの時代も同じ。まぁ、自己が確立していない10代で「自分がわからない」というのも大袈裟かもしれないが、当人にとっちゃあ人生最大の危機ってわけだ。漠然とした不安を抱え、心のバランスを崩した主人公スザンナが平安を取り戻すまでを描く本作は、同じ体験をした人やその渦中にいるという人にジャストミートする青春ドラマ。精神病院に入院させられるほどの拒食に過食、虚言癖に反社会的人格障害とまではいかなくても、多少なりともヘタレた経験があれば登場人物の痛みがわかるはず。
もちろん、のほほんと悩みなき思春期を過ごす人もいるわけで、そういう人がキャラクターに共感するのはハッキリ言って無理。とはいえ、反抗的なリサに扮し、オスカー女優となったアンジェリーナ・ジョリーのなり切り演技は、はっきり言って見る価値アリ! 目線やささいな仕草からエキセントリックな反面、傷つきやすく繊細なリサの心の揺れがビンビンと伝わってくる。自身がフレームの中央から外れてしまう場面でもリサとして存在しているのが見てとれる。メソッド演技を遥かに超える女優の誕生だ。
(山縣みどり)