劇場公開日 1991年7月13日

「ギュッと詰まった不思議な世界観と時代感覚」シザーハンズ あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 ギュッと詰まった不思議な世界観と時代感覚

2025年12月20日
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ティム・バートンらしい如何にもヘンテコな作品ではある。ただし「ビートルジュース」や「チャーリーとチョコレート工場」のようなぶっ飛んだ感じはない。それはひとえにエドワード・シザーハンズという主役が純粋で、人への愛を十分持ち合わせていて、でも自分や他人を意図せず傷つけてしまう手を持っている、存在の哀しみが強調されているから。考えて見れば、この二律背反って奴は人間の営みには必ず付きまとうもので、その点、エドワードを創り出したのがマッドサイエンティストではなく発明家であるというところが興味深い。多分、発明家は悪意ではなく、人間の進歩を目指してこのようなものを造ったのだろうが、それが時として人間を不幸にもしてしまうというところ、例えば原子力なんかにも一脈通じる。
それはそうと、この作品の舞台、1950年代のアメリカの郊外がイメージされているんだろうけど、普通の街並みの隣に古いお城がそびえ立っているところ、これは「アダムスファミリー」なんかもそうだけど独特の世界観ですね。こちらの世界とあちらの世界が半径500m圏内に併存する宇宙ということになる。それとこの話はおばあさんになったキムが昔話を孫にしてやる設定なんだけど、じゃあ、今という時は何時なんだ、と時間のひずみも感じられる。面白いですね。この時間も空間も凝縮して押し込められたような感じ。ティム・バートンのヘンテコな感じというのは根本的にはそこに由来するのかもしれないね。

あんちゃん
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