劇場公開日 1998年11月14日

「悪くはないが物足りない」始皇帝暗殺 バラージさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 悪くはないが物足りない

2025年12月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

カワイイ

メル・ギブソンの『ブレイブハート』を観て、学生時代にリバイバル上映やレンタルビデオで観た『ベン・ハー』や『スパルタカス』を思い出し、中華圏でもこういう史劇映画を作ってくれないかなと思ったら、その2年後に公開された。中国製史劇映画には『三国志 大いなる飛翔』という悪しき前例もあったが、『さらば、わが愛 覇王別姫』のチェン・カイコーならと期待が高まった記憶。『花の影』が失敗作だったんで一抹の不安はあったが、まあどんな監督でも百発百中ということはないわけだしと。

しかし観た結果としては、つまらなくはないけれど期待したほどでもなかったという微妙な感想。事前の期待値が高すぎたのか、観終わった後に今一つ物足りなく感じてしまった。まあまあ面白かったって程度かなあ。主演のコン・リーとチャン・フォンイーも共に貫禄の演技ではあるが新味はない。『上海ルージュ』を最後にチャン・イーモウとコン・リーはコンビを一旦解消し、その後コン・リーは『花の影』と本作でチェン・カイコー監督作に出演するが、やはり彼女をスクリーンで最も輝かせられるのはチャン・イーモウなんじゃないかなあ。むしろこの映画で強く印象に残ったのは冒頭でチャン・フォンイー演じる荊軻に殺される盲目の少女を演じたジョウ・シュン。後に『ハリウッド★ホンコン』『小さな中国のお針子』で気に入り、過去作を調べたら本作があって「あー、あの子か」と思い出した。やはりこの頃から輝いてたんだなあ。もっとも前作『花の影』の端役出演はどこに出てるか全くわからないけど。21世紀にはチャン・ツィイーらと共に四小花旦(四大若手女優)と呼ばれるようになっていく。

なお本作は日本も製作に参加してたためか関連書籍がいくつか出版されるメディアミックスが行われ、小室哲哉プロデュースでデビューした台湾のRingという女の子が主題歌だったりもしたが、映画自体の興行成績や評判が微妙なこともあってかいずれも空振りに終わっている。当時は小室ブームもちょうどピークを過ぎ始めた頃だったような記憶がある。

バラージ
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