ギャラクシー・クエスト : 映画評論・批評
2001年1月5日更新
2001年1月20日よりシネクイントほかにてロードショー
観れば爽やか。愛すべきおバカSF
かつて「スター・トレック」(…というより「宇宙大作戦」としたほうが雰囲気だね)で耳の尖ったバルカン星人スポックを演じたレナード・ニモイは、シリーズ終了後もそのイメージをマニアたちに強いられて、ついに「I Am Not Spock」なる本を書いてしまった。こうした“演技者”と“ファン”との緊密すぎる関係性を、客観的で意地悪な目と愛情溢れるマニアの目の両方で看破したところが、「ギャラクエ」の理 知的なところだ。
いやぁ、それにしても芸が細かい。本物の(?)プロテクター号が発進するシーンはスタトレ映画版第一作そのまんま。ビデオ合成で済ませることの多い80年代以降のTV特撮とフィルムによる光学合成との質感の違いにこだわったりする一方、非現実的なまでに複雑怪奇になった船内構造で、TVシリーズの刹那的な製作状況を皮肉ってみたり。こうした絶妙のツッコミが、自己矛盾に陥りがちなオタクのメンタリティを突っつきまくった末、ラストでは大いに肯定してくれるんだから、その爽快感、解放感はたまらないのだ! ……って所詮は俺もオタクだからな。
……ところでそれから20年後、ニモイが次に書いた本のタイトルは「I Am Spock」だったっけ。
(ミルクマン斉藤)