劇場公開日 2005年6月4日

フォーガットン : 映画評論・批評

2005年6月1日更新

2005年6月4日より日劇3ほか全国東宝洋画系にてロードショー

まんまと一杯食わされた喜びを語り合おう

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「忘却とは忘れ去ることなり」というのは、大昔の有名なメロドラマのナレーションの一節だが、そんな題名の映画でありながら、ジュリアン・ムーア扮するヒロインは、1年以上も前の飛行機事故で、幼い一人息子を失った悲しみを乗り越えられず、遺品を見ては思い出し、悲嘆にくれる毎日で、精神科医のセラピーを受けるほどの重症状態。

そんな彼女のまわりで次第に異変が起きる。初めから息子が存在しなかったかのように、夫をはじめ周囲の人々から息子の記憶が消え失せたばかりか、物理的な証拠も消えていく。すべては彼女の妄想? しかし、自分の記憶にしがみつき、彼女は行動にでる……。

――と、まあ、この程度は粗筋を紹介できるけど、エチケットとして、あとは一言も書けない。たとえば、「シックス・センス」みたいなオチがどうのいうんじゃなく、唖然呆然の展開が待っているから、これ以上はネタバレになってしまうのだ。とにかく見なさいと言うしかなく、見終わって、まんまと一杯食わされた喜びを誰かと語り合うのが愉しい作品で、これほど見世物小屋センスに徹した作品も珍しい。ちなみに、題名には“犠牲者”のニュアンスもあります。

高橋良平

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