ファイヤーウォール : 映画評論・批評
2006年4月4日更新
2006年4月1日よりサロンパス・ルーブル丸の内ほか全国松竹・東急系にてロードショー
今日的な設定でサスペンスの王道をいく
ファイヤーウォールとは、ご存知のように、このIT社会で情報流出を防ぐセキュリティの代名詞。合併が間近に迫る銀行で、セキュリティ・システムを構築した保安部門の幹部である主人公は、ある日突然、武装グループに家族を人質に取られ、やむなく犯罪に手を貸すことになる。その指令は自ら築いたシステムに侵入し、1億ドルを強奪すること。家族を救出するため、主人公は知力・体力のかぎりを尽くして、悪と対決する……。
まさに今日的な設定で、古い革袋に新しい酒をそそぎ、サスペンスの王道をゆくストーリー。善と悪とが、丁々発止とやりあう頭脳戦の駆け引きがサスペンスを生むわけで、用意周到で冷徹な武装グループのリーダーに、「ダ・ヴィンチ・コード」に出演することでも話題のポール・ベタニーを起用したのは大正解。ほかに、バージニア・マドセン、ロバート・パトリック、メアリー・リン・ライスカブ、アラン・アーキンら脇役も実に好演している。ただひとつ残念なのは、60の坂をとっくに越えてしまった主演ハリソン・フォードのアクション。吹き替えを使っても、ナントカの冷や水な感じは隠せない。余談だけれど「インディ4」が心配な雲行きである。
(高橋良平)