エネミー・ライン : 映画評論・批評
2002年3月5日更新
2002年3月9日より日劇3ほか全国東宝洋画系にてロードショー
9月11日以後、気が付けば変わっていた自分の価値観と出会う
9月11日のテロ事件以来、映画の見方が変わった人は多いはずだ。いままで当然のように受け止めてきた、米国が正義のヒーローとなって戦う映画を「何かちがうぞ」と思うようになる。そんな変化を感じたりはしないだろうか。
この「エネミー・ライン」も、気が付けば変わっていた自分の価値観と出会うことになる映画だ。米海軍の上官は、敵地に落ちたたったひとりの部下を救い出すため、せっかくとりつけた停戦さえ無にしてしまおうとするのだ。
事件前なら、なんて熱い師弟愛とか思うんだろうが、今は「ああ、こんなことやってるからテロの標的になるんだよー」なんてつぶやいてしまう。20分にも及ぶミサイルVS戦闘機の手に汗握るスカイチェイスも用意されて、このジョン・ムーアという新人監督、演出は悪くないんだけど、公開時期が災いしたという感じかもしれない。
ちなみに、何だかとってもジョン・ミリアスな映画だなあと思ったら、最初の脚本を書いたのは彼なんだって(ノンクレジット)。うーん、そんなこと聞くと、ミリアス版も見たくなった。だって、イケイケ映画がいまでも許せる人って、個人的には三つ子の魂百までの彼だけなので(笑)。
(渡辺麻紀)