コロンバイン高校での銃乱射事件を題材に、被害者数人と加害者2人、それぞれの視点から事件を描いた映画。当時の高校生を実際に出演させているということで、疑似的なドキュメンタリーと言ったらよいか。それぞれの視点で、時間がだぶった形式で事件を描写していることで、それぞれを追体験しているような感覚になる。それぞれの日常を描くことで、どんな日常が失われたのか、どのような接点で事件が起こったのかが明かされる。刑事の視点になったら、こんな感じの理解の仕方になるのでは。ウィキペディアで、コロンバイン高校銃乱射事件で調べると、実際の事件は、この映画とは大きく違うことがわかる。
気になったのは、逃げ惑う学生が、「逃げろ!」とか「銃をもった学生が乱射している」などと叫んで、他の人に知らせようとしないこと。これって、実際もそうだったのか。
最小限のBGMと効果音、ベートーベンのピアノソナタ「月光」と「エリーゼのために」が耳に残った。
加害者の若者が、何故事件を起こしたのかということについて、ここでは詳しくは描かれない。授業中でのいじめらしき行為、ナチスに対する興味、銃を通信販売で購入だけが示されている。
主となった加害者は、かなりいかれた少年で描かれる。共犯者まで殺すように描いた意図は何故なのか?(実際の事件では、二人の犯人は自殺) 日常から、この事件が起こる非日常とのギャップが大きく、事件や災害ってこのようなものだよって思う。
事実を描くことの難しさを理解し、決めつけやレッテルを排除すれば、このような描き方になるのかもしれない。
カンヌ映画祭のパルムドールを受賞したとのことだが、そこまでの作品だろうかって自分には思われた。