「人間と蠅との融合の結末は…!?」ザ・フライ だいふくさんの映画レビュー(感想・評価)
人間と蠅との融合の結末は…!?
デビッド・クローネンバーグ監督作品は大好きで、ほとんどの作品鑑賞していますが、その中でも本作が一番好きです。ホラー映画ではありますが、ヒューマンドラマでもあります。蠅化していく科学者の苦悩とその周りの人間達の苦悩が単純にホラーと言い表せないくらい悲しいストーリーなのです。いや~この映画本当に名作だと思いますよ。
自分の体が、どんどん退化し蝿に変化していく姿に苦悩する科学者セス。そもそも蝿男になってしまうきっかけは、単なる嫉妬心だけから来たもの。どんなに醜い姿になっても彼を案じ続ける恋人ヴェロニカ。
ブランドルフライの新生命体が誕生!しかし、どんなに醜い姿になろうとも、最後まで心は蝿ではなく人間のままなのが辛い。見るも無残な姿になったセスは、ヴェロニカが持つ銃を自らの頭に当てて殺してくれと要望する姿は、自分の犯してしまった過ちに許しをこう姿にも見えます。なんだか、切ないシーンでもあります。
が、しかし、感動映画と思ったら大間違いで痛い目にあってしまうのです。
アカデミー賞メイクアップ賞を受賞した、そのSFX(特撮)技術はものすごいものでした。いや、もうねグチャドロと言う表現がぴったしで、ある意味芸術の域に達していると思えますが、遺伝子レベルで蠅と融合してしまったわけですから、容姿、雰囲気は抜群に特異な存在となり、蝿に変貌していく過程での、皮膚がとろけ、耳がもぎ取れ、爪が剥がれ落ちる映像は、まさに見事な演出にして技術。吐き気を覚えるほどです。その強烈なグロテスク姿はトラウマ必死です。
人間って、弱いね・・・
と感じさせてくれる、秀作でした。
コメントする