「人の業とはおぞましい」どろろ しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
人の業とはおぞましい
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Leminoで2回目の鑑賞。
原作マンガは未読。
戦国時代のようで、もしかしたら未来なのではないかとも思わせる独特な世界観が良い。
原作の雰囲気を再現しようとする意図なのか、美術が非常に凝っているように思えた。
常に砂っぽく、終始フィルターが掛かったような映像も世界観の構築に一役買っている。
百鬼丸の孤独と世の中の不幸を一身に背負って戦っているような佇まいを体現している妻夫木聡の演技が良い。だがまだ少し硬さもあり、演技派俳優への成長過程を見られたようで感慨深い。
どろろ役の柴咲コウの演技も上手い。江戸っ子みたいな喋り方がとても自然だし、所作の端々の荒くれ具合など「小僧感」の表現が巧みだと感じた。柴咲コウ無くして本作は成り立たない。
人の業に迫るストーリーもなかなかに見応えがあって面白かった。求め争い、手に入れてはまた求めを繰り返す。人間の果てしなき欲望の化身・醍醐景光と、その欲望の犠牲者たる百鬼丸の親子対決に漂う哀感は、筆舌に尽くしがたいものがあった。
だが、中学生の時以来で久しぶりに観たせいなのか、当時は熱狂的な視線で観ていたはすのアクションシーンのすごさを感じられず「あれ、こんな感じだったっけ?」と、かなり想い出補正を掛けてしまっていたことに気づかされた。CGなどのクォリティも当時は高かったのかもしれないが、今観ると粗が気になってしまった。
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