劇場公開日 2007年1月27日

「ほげほげたらたらほげたらぽん!」どろろ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ほげほげたらたらほげたらぽん!

2019年11月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 TVアニメが放送されたとき、そのおどろおどろしさには夜中にトイレに行けなくなったほどの小学生時代を思い出してしまいます。カラー全盛の時代にわざわざ白黒アニメにする手法も画期的だったし、当時は差別用語の概念も持ち合わせていなかったので江戸川乱歩怪奇小説並に震えてしまったものです。しかも、TVの時間帯がカルピスまんが劇場となるゴールデンタイム。敢えてこの時間帯に放映するのも画期的だったかもしれません。

 そのTVシリーズは当初『どろろ』というタイトルだったのですが、「主人公が百鬼丸なのになぜ?」と疑問に思っていたら後に『どろろと百鬼丸』とタイトルが変えられました。放映途中にタイトルが変わるといえば、『宇宙猿人ゴリ』から『宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン』と変わり、最終的に『スペクトルマン』へと変遷した番組もありますからたいしたことではありません。

 さて、この手塚治虫先生の傑作を実写化した映画。コミックでもTVアニメでも最終話で「どろろは女の子だった!」という重大なサプライズがあったのに、映画ではキャスティングそのものがネタバレしています。もしかすると原作とは違い、「実は男だった」などといった大どんでん返しがあるのかと期待していましたが、そこまでは変更されてませんでした。それよりも、復讐の連鎖を絶つとか、子供を簡単に捨てる親たちや百鬼丸とどろろの親子愛を対比させたりして、プロットを生かしてテーマを変えてしまった脚本はなかなかのものでした。それにこれは日本の室町時代などではなく、完全な無国籍ワールドにしてしまったのもよかった。さらに、どろろや百鬼丸の名前の由来についても詳細に語っていたので、「どろろ」が南方で化け物という意味なら、関東では「トトロ」になるのか?などと心の中でボケてしまいました。

 気になった点はやっぱり柴咲コウの声。少年っぽさや、男のフリをしたいがためにがなりたてたりするのは『下妻物語』の土屋アンナのようでした。もしかして妖怪鯖目の奥方(土屋)がどろろに憑いていたのかもしれません。百鬼丸の本来の体が戻ってくる際の苦しみの表情や特殊効果、それにワイヤーアクションは良かったのですが、妖怪のCGや着ぐるみがどうもいけません。B級感溢れるのはいいとしても、あまりにもショボくて笑ってしまえる効果にがっかりでした。妖怪の登場シーンをもっと少なく、あるいは全部カットしたほうが潔かったと思います。

 冒頭の「ほげほげたらたら~」は富田勲作曲のTVアニメのテーマ曲。これが聴けるならいいなぁ~などと甘い幻想を抱いて鑑賞したのですけど、前の座席に座ったおじさんが帽子を脱いだときに、「はげはげたらたら・・・」と口ずさんでしまいそうになりました・・・

〈2007年映画館にて〉

kossy