劇場公開日 2004年2月21日

「【映画において、如何に意匠、背景を含めた美術の効果が大切かを、逆説的に示した作品。】」ドッグヴィル NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0【映画において、如何に意匠、背景を含めた美術の効果が大切かを、逆説的に示した作品。】

2024年12月15日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

ー 今作での、ラース・フォン・トリアー監督の斬新すぎる作品設定 ー床に線を引いただけの空間ー の中での人間模様を描く手法には、主演のニコール・キッドマン始め数名の俳優が大いに戸惑い、彼らは二度とラース・フォン・トリアー監督作品には出演していない。-

■少数しか住人がいない廃れた鉱山町・ドッグヴィル。
 作家になることを夢見るトム(ポール・ベタニー)は、ギャングに追われる美しい女性グレース(ニコール・キッドマン)を匿う。
 トムは村人たちにその事実を話し「2週間で彼女が村人全員に気に入られる」という条件で同意を得る。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・ストーリー展開は、長尺にしてはシンプルである。だが、その中でドッグヴィルの小さな町の人達のグレースに対する悪意が徐々に醸成されて行く。

・主演のニコール・キッドマンは、舞台の様なセットの中で迫真の演技を披露するが、例えば彼女がチャック(ステラン・スカルスガルド)に犯されるシーンなどは、部屋の壁が一切ないために、どうしても違和感を感じてしまうのである。
 監督の意図としては、そこは観客が”想像する”ことを求めているのか、斬新な演出を狙ったのかは、分からないがカメラアングルが、俯瞰した撮影にほぼ徹しているために、サスペンス要素が俳優の演技に頼らざるを得ないのである。

<今作の設定を観ていると、邦画の三谷幸喜監督作の、「ギャラクシー街道」や近作の「スオミの話をしよう」を想起させるが、当たり前だが両作とも今作よりも遥かに内装が凝っている。
 どうも、私は映画には”如何に意匠、背景を含めた美術の効果が大切か”を重視し、求めているかと言う事を感じてしまった作品である。>

NOBU