「顔に道徳的な平手打ちをくらったかの様な衝撃」ドッグヴィル 恵さんの映画レビュー(感想・評価)
顔に道徳的な平手打ちをくらったかの様な衝撃
クリックして本文を読む
顔に道徳的な平手打ちをくらったかの様な、衝撃的な映画体験をした作品の1つ。
ラース・フォン・トリアーの作品なのに、ラストシーンでカタルシスを感じられて気持ちがいい!と思える人が少し羨ましい。
村人たちの行動原理はエゴや弱さが丸出しだけれど、そこまで突拍子のないものでもなく、理解できる範疇にある。村人と一見いい人そうに感じるトムも実際の我々の側面であって、グレースは理想の人。
私はグレースの、全てを許容し慈悲深く、村人に寛容な姿に共感。しかし、最後に全てを覆す裁きを下したこと(母親の前で子供を殺して…など故意ありの裁き)にカタルシスを感じつつも、グレースも村人たちと同じ人間なんだなぁ…と悲しくもあり、自分も同じことするだろうなぁとも思うので、共感していた自分に嫌悪感すら感じる。まさに寛容の自己満足というやつでしょうか。
ラース・フォン・トリアーの作品を観ると人間嫌いなんだなと感じるけれど、他人よりも自分のことが嫌いでしょうがないんじゃないかと感じています。
コメントする