デビルマン : 映画評論・批評
2004年10月1日更新
2004年10月9日より丸の内TOEI1ほか全国東映系にてロードショー
サタンはなぜ髪を脱色しているのだろうか?
永井豪の最高傑作「デビルマン」の映画化は見果てぬ夢だった。物語の面白さ、登場するキャラクターの魅力、名セリフの数々から、必ずや映画化されれば傑作になるだろう。同時に苛烈きわまりない残酷描写と、神と悪魔と人類そのものの概念に疑いを投げかける過激なテーマから、映画化の難しさも危惧されていた。
そしていざ映画化されてみたわけだが……するとサタンは髪を脱色していたのだ。生まれつき日本人離れした金髪だという意味なのか? だが高校時代の飛鳥了はあきらかにブリーチしている。その証拠に髪の黒い根元がしっかり画面に映っているのである。妙な銀髪のかつらをかぶっているのなら、単に金と技術がないために安い映画になっただけなのだ、と納得することもできるだろう。
しかしこのどっちつかずの金髪はあまりに中途半端なやる気のなさを感じさせる。すべてにおいて徹底できない映画「デビルマン」の中途半端さがまさしくここに露呈しているのだ。シレーヌのかぶる妙なかつら(下から黒い地毛がはみだしている!)にも、めまぐるしくアングルを変えればごまかせると思っている安いCGにも、「段取り」という言葉さえ誉めすぎなアクションにも、すべてに通暁する中途半端さが。
(柳下毅一郎)