劇場公開日 2004年5月15日

ドーン・オブ・ザ・デッド : 映画評論・批評

2004年5月1日更新

2004年5月15日より日比谷映画ほか全国東宝洋画系にてロードショー

オリジナルを凌駕した「ゾンビ」そのものの恐ろしさ

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リメイクにいいものナシ。とりわけカルトをメジャースタジオがリメイクし、しかも監督が新人だったりすると一気にその確率は高くなる。ジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」をリメイクした本作は、その条件をすべて満たしていながら、オリジナルさえ凌駕するようなホラーを作り上げた。もうびっくりである。

その驚くべき新人ザック・スナイダーがここで描いたのはゾンビの恐怖。俊敏に動き超人的パワーを得た彼らが世界を支配するその瞬間を突きつけてみせた。つまり、一握りの人間がショッピングモールに篭城し、実はゾンビ以上に怖い人間の本性と対峙するロメロ版とはまったく異なるアプローチをとったのだ。

意を決してモールを脱出するサバイバーたちが目撃し体験するのは地獄と変わり果てた世界。蛆虫のごとくわきでたゾンビたちが彼らの武装バスを覆い尽くしたそのビジュアルは本作の白眉であり、私たちを震え上がらせる。世界の終焉を感じさせるのだ。

手垢のついたホラーキャラクターを新解釈によって21世紀に甦らせる。ならばリメイクする価値は十分。ゾンビが怖い、初めてそう思った。

渡辺麻紀

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