サンセット大通りのレビュー・感想・評価
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グロリア・スワンソンの名演技
この映画の魅力は何といってもグロリア・スワンソンの名演技につきる。
かつての大女優も映画の出演がなくなっても、かつての栄光をいつまでも夢見る姿がなんとも悲しい。映画での設定は50歳だが、実際の彼女もこの当時50歳なので本人の生き様とダブっている。今なら50歳なら現役でバリバリやれる年齢であるが、その当時はそういうことだったのかな。
なお、ベティ役のナンシー・オルソンはご存命のようで、96歳。
ブルーバードを青い鳥だと持っていた若い頃が私にもありました
ロサンゼルスにある大邸宅のプールで、男の死体が発見された。男は売れない脚本家だった。その殺人に潜むエピソードが明らかになっていく。
売れない脚本家のジョー・ギリスは金がなくて困っていたが、金貸しから逃げる途中で、ひょんなことから入り込んだ大邸宅で、往年の大女優ノーマ・デスモンドと出会う。ノーマに気に入られてそこに住むようになり、人生が変わっていく。華やかな映画界への復帰を目指すノーマに、パラマント社から電話があった。要件は車を貸してほしいことだったが、本人は自分への出演依頼だと思い込み、撮影現場に乗り込んでいく。旧知の監督や撮影スタッフと旧交を温める中で、ノーマはさらに復帰への妄想を膨らませて、エステに励むなどして復帰を目指す。一方のジョーは、婚約者がいるベティと恋仲になるが、召使のマックスからノーマにはくれぐれも知られないようにと忠告される。マックスはノーマの最初の夫であることも知らされる。しかし、忠告もむなしく二人の関係はノーマの知るところとなり、ジョーは事実を洗いざらいぶちまけて邸宅を出ていこうとする。ノーマはジョーにピストルを向けて数発発射して殺してしまう。すぐに警察、マスコミ、やじ馬が集まった。彼らが集まったところで、ノーマは2階から降りてくる。スターであるかのように自身が書いた脚本のサロメを演じながら。
アカデミー賞11部門にノミネートされて、主演女優賞を含む3部門の受賞にとどまったが、これは同年に公開された『イヴの総て』が強かったからのようです。アメリカ国立フィルム登録簿には、創立された1989年に登録されているとのこと。つまり、名作中の名作と呼べる作品です。
栄華を極めた人の執念、裏切ることへの報い、屈折した愛情といったあたりが作品のテーマでしょうか。普遍的なテーマなので今リメイクしても面白い気がしますが、オリジナルで完成度が高いので、リメイクする勇気が出ないかもしれませんね。
日本版を作成するなら、ノーマ役は誰でしょうか?女優さんではないのですが、私は小林幸子さんがフィットするのではないかと思いました。執念とか執着とか似合いそうですよね。
ところで、英語では大通りのことをBoulevard(BLVD)と表すが、初めてアメリカに行ったときはそんなスペルであることは知らないので、青い鳥(Blue Bird)にしか聞こえなかった。
【”スター女優は年を取らないモノよ!そして映画こそ我が人生。”哀しきサイレント映画時代の大女優が夢にまで見たハリウッドへの復帰を望む過程を売れない脚本家との絡みを軸にシニカルに描いた作品。】
■ハリウッドの売れない脚本家ジョー・ギリス(ウィリアム・ホールデン)はある日、借金取りに追われて逃げ込んだ屋敷で、隠居生活を送る往年の大女優ノーマ・デズモンド(グロリア・スワンソン)と出会う。
彼女から脚本の執筆を依頼されたジョーは、住み込みで働き始めるが、やがて生活の全てを束縛されてゆく。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作を観て思ったのは、邦画が誇る大女優、原節子さんの生き方である。石井好子さんによる「原節子の真実」によると、彼女は自分の女優としてのピークを知った時点で潔く映画界を去ったとされている。
その後は、表舞台に一切出る事は無く、生涯を終えたと記されている。
この本は、時折目を通すのであるが、哀しい想いと女優として一世を風靡した方の見事なる生き様を描いた作品だと思っている。
・今作では、トーキー時代の大女優ノーマ・デズモンド(グロリア・スワンソン:実際に大女優だったそうである。)が、昔日の栄光を忘れられずに大邸宅に自らの若き日の写真を飾る姿や、ジョー・ギリスを抱き込み、再び銀幕のスターになるべく加齢に対し涙ぐましい努力をする姿が描かれている。
ー だが、彼女は徐々に過去の栄光と、現実との違いが分からなくなっていく姿が哀しい。-
■驚いたのは、後半明らかになる慇懃なまでにノーマ・デズモンドに仕えるマックスが、且つては彼女の夫であり、且つ映画監督だった事が判るシーンである。
<今作を観ると、多くの映画女優さんの加齢により美貌が失われて行く中、その立場を保とうとする姿を考えると、複雑な気持ちになってしまう。
私は、ゴシップ記事には全く興味が無いが、有名女優さんの加齢により容色が衰える様を面白おかしく書く記者には”お前は、年を取らないのか!”と思う時が偶にある。
少し、脱線したが今作はその様な視点で名女優だった女性の哀しき人生を描いた作品であると思う。
ラスト、ジョー・ギリスを撃ち殺したノーマ・デズモンドが、全てを忘れ螺旋階段を多くのフラッシュに映されながら、至福の表情で降りて来るシーンは名シーンだと思います。>
今更、南北戦争?
『映画は俳優だけで見せているのではない』と言う台詞があったが、どの場面だったか?
でも、それに共感する。映画を鑑賞する者に俳優の演技力なんか分かるはずもない。分かるとすれば、歌がうまく歌えるとか、踊りのキレが良いとかだろう。
パラマウントが『風と共に去りぬ』を選ばなかったのは『今更、南北戦争?』って凄く共感する。『MGM』も『パラマウント』もユダヤ系の会社であろうが、より多くのユダヤ系アメリカ人が活躍していたパラマウントでは、ナチス・ドイツへのレジスタンスでこう言ったアイロニーに満ちたセリフができたと思う。
パラマウントのオーナー(?)が金がない事を嘆くが、時代が遡るこの20年はそれでアメリカンドリームを藻屑にした者が沢山いた。最近の『バビロン』と言う映画にも描かれていると思う。
芸能界は群雄割拠な場所だ。映画賞をとっても、翌年には服役しているような者もいたと思う。つまり、尋常ではないお金が動く世界なのだろう。そう言う意味では日本もそうなのだろうが、日本は過去の行いや門地を問わない民主的でクールな業界なのだ。アイドルだった人が綺麗なおばあちゃんを演ずる事が出来る。見る者も作る者も、フトコロの深い人達が大変に多い。
ガキの頃 年末年始の特番とかで見た可能性があるが、ガキだったので、理解できるわけもなく。こう言ったストーリーは火曜サスペンス劇場を初め、色々な別のストーリーとして取り上げられている。だから、初見かもしれない。そう言えば、刑事コロンボにも全く同じストーリーがあった。
追記
この屋敷に出て来る駐車車庫は『サブリナ』の駐車車庫?
追追記
最初に戻るが映画は『俳優ばかりで。。』って、この映画はある意味アイロニーなんだと思った。監督が二人も出演し、無声映画役者が多数出てセリフを喋り、おまけに演じた監督はアカデミーまでとっている様だ。
虚構と現実が入り乱れるかたちでハリウッドの現実を描いた怖さまでを感じさせる映画
ビリー・ワイルダー監督による1950年製作のアメリカ映画。原題:Sunset Boulevard。
著名だがビリー・ワイルダー監督による作品は、何と初めての鑑賞。コメディのイメージが強く意外感も有り。アカデミー賞で、脚本賞、作曲賞、及び美術賞の3つを獲得。無名だったウィリアム・ホールデンの言わば出世作らしい。
主演のグロリア・スワンソンが、過去の大スターであった栄光の日々の延長線上で夢見る様に生きている元大女優を、とても痛ましく見える圧巻の表現力で演じていた。ウィリアム・ホールデンを引き止めようと、チャップリンのモノマネまで上手に演じていて驚かされた。彼女は1899年生まれで、映画の役通りに、セシル・B・デミル監督(本人役で出演)に見出されたサイレント時代の大女優というから、半端でないリアルさ。役柄を考えると、よくぞ出演したと思える。
若い貧乏な脚本家役ウィリアム・ホールデンはあまり良い演技には思えなかったが、グロリア・スワンソンの豪邸プールで死体となって浮かんだところから、自分語りで物語の語り部となる展開は、とてもユニークに感じた。
グロリア・スワンソンの召使役(元映画監督でノーマの最初の夫で有ることが明かされる)のエリッヒ・フォン・シュトロハイムは、サイレント時代の巨匠監督とのことで驚かされる。撮影中にスワンソンと衝突し撮影中止の過去も、事実として有るらしい。そういえば、喜劇王バスター・キートンもスワンソンのトランプ仲間として本人役で登場していた。
ナンシー・オルソンはホールデンに恋する脚本家志望の娘役で、唯一の普通のヒトで、言わばハリウッドの異常社会との対比を強調する役回りか。好感を覚えたが、残念ながら大女優には成らなかった様だ。
最後、殺人事件に押しかけたマスコミに、銀幕復帰が叶い撮影が始まったと、演技をするスワンソンの姿、その気持ちに応えて撮影指示を出す元監督シュトロハイムの姿を映す映像が、痛ましい・狂気の様相を抉り出す。
楽しい或いは面白い映画とは言えないが、虚構と現実が入り乱れるかたちで、ハリウッドの現実を描いた映画で、そこまでやるんだという怖さを感じさせる驚きの映画であった。
製作チャールズ・ブラケット、脚本チャールズ・ブラケット、ビリー・ワイルダー、D・M・マーシュマン・Jr、撮影ジョン・F・サイツ、音楽フランツ・ワックスマン。
出演は、ナンシー・オルソン、ウィリアム・ホールデン、グロリア・スワンソン、エリッヒ・フォン・シュトロハイム、セシル・B・デミル(本人役)、バスター・キートン(本人役)。
ニュース映画「サロメ」で名演遺すノーマ・デズモンド
多作な上バラエティに富んだジャンルに傑作を遺すビリー・ワイルダーは、ストーリーテラーの達人。恩師エルンスト・ルビッチと映画の王様アルフレッド・ヒッチコックを足して、さらにダークにした感じの独特な演出タッチを持っている。コメディー映画でもアメリカナイズされた明るさより、ドイツ風な暗さを感じさせます。その中で、一番の特長は、映画を愛していること、映画に携わっている人たちを大切にしていること。その一端はキャスティングだけで十分に窺える。
セシル・B・デミル監督の「男性と女性」などに主演したサイレント映画のスター、グロリア・スワンソンが演じるノーマ・デズモンドが放つ不気味さ。忘れられた大女優役を堂々と演じる誇り高きスワンソンの女優魂が凄い。同じくサイレント映画の巨人エリッヒ・フォン・シュトロハイムの冷徹と献身を兼ねる執事の存在感。さらにサイレントから活躍を続けるセシル・B・デミルが本人役で温厚な人格者をみせて、哀愁漂うバスター・キートンもカメオ出演。ユーモアを完全に排したシニカルな内幕暴露映画で”映画”を賛美するワイルダー監督独自のユーモアが素晴らしい。
ラストは、報道人からフラッシュを浴びてサロメを演じる、狂気のデズモンドに圧倒されます。ヨカナーンことウィリアム・ホールデンを殺めてニュース映画のサロメを実演する物語の結末まで、練りに練られた脚本の完全な映画化。
名作とされるが自分には...
自分には良さが分からなかった。
思った以上にメロドラマだなあという印象。おそらく男と上手くいかなくなると自殺を図るようなデズモンドが好きになれなかったからだろう。
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