「19歳と39歳との鑑賞で感じ方が変わった。」シティ・オブ・ゴッド TWさんの映画レビュー(感想・評価)
19歳と39歳との鑑賞で感じ方が変わった。
初めて鑑賞したのは、確か19歳頃だったと思う。
それから何度も鑑賞し、ここ数年観ていなかったところ、39歳にして久しぶりに鑑賞した。
この映画は、今まで観た映画のなかでも一位二位に好きな映画である。
「世界一陽気な地獄」とキャッチコピーが付けられている通り、地獄であるが陽気な世界であり、この世界観が素晴らしく思える。
六十年代から八十年代のブラジル貧困街での出来事を映画にしたノンフィクションであるが、これは本当に実話かと疑わせるほど、驚きに満ちている。
子供が平気で銃を手にする世界。人がバタバタ死んでいく。ギャング同士の抗争はまるで戦場のようだ。
一見悲惨に思わせるけど、その悲惨さを感じさせなかったのがこの映画のよいところだと思う。
実に陽気に描かれており、ある種のファンタジーを感じた。
どの人物に自分を投影しても、実に楽しそうに感じた。
それが19歳の頃に観た『シティオブゴット』だ。
そして、二十年を経た現在、鑑賞すると、また違った見方ができる。
若い頃と比べて、ある程度社会の常識だとか倫理観を蓄えた身として観ると、愉快さ一点張りだった映画も、実は悲惨な一面もあったことを自覚させる。
あの二枚目マネの物語など、妻をレイプされ、弟と叔父貴を殺され、実のところ、実に悲惨であったのだ。
19歳の頃にはそうした感情など湧いてこなかった。
ただただ愉快に楽しめた19歳での鑑賞、それから悲惨さを感じさせた39歳での鑑賞。
面白い映画であることには変わりないが、19歳の頃に観たこの映画の方が楽しかった。
人は老いるものだ。
また、年寄りになったら観てみたいと思う。
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