劇場公開日 2004年11月6日

「拾った屑野菜で何やらごちゃごちゃ煮込んで旨そうに食うシーンに「生のエネルギーは食にあり」と。」血と骨 ezuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0拾った屑野菜で何やらごちゃごちゃ煮込んで旨そうに食うシーンに「生のエネルギーは食にあり」と。

2023年1月18日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

興奮

田畑智子が雰囲気を出していた。
不幸を一身に引き受けた様な、
過酷な人生におろおろと流される
お姉ちゃんの味が実によかった。

雰囲気といえば終戦前後の長屋のセットにリアリティーがあって、
見た事のある様な風景に、完全に映画の中に取り込まれてしまった。

驚いた事には、俊平や英姫が住んでいる路地建物の位置関係が、
原作でイメージしていた物とぴったりだと言う事、
本がしっかりしていると言う事でしょうか。
いや、セットがしっかりしているからでしょう。

それにしても崔監督、かなり思い切ってストーリーに手を加え、
新しい「血と骨」を創作しているかと思ったらそうじゃなく、
かなり忠実に原作をなぞったものでした。
見る者を引っ張って行く演出力はなかなかのものでしたよ。

印象に残ったシーンは、
俊平が屠殺の残材で仕込んだ得体の知れない食い物に、
蛆を振り払いながら食らいつくシーン、
同じく俊平が、拾った屑野菜で何やらごちゃごちゃ煮込んで旨そうに食うシーン、
そこに「生のエネルギーは食にあり」と妙に納得させられました。

エンディングで梁石日さんがじっとこちらを見ていました。
実父をモデルに書いた本ですから、
そこに何とも言えない強靭な意志を感じ、ぞっとしたのを思い出します。

粗暴で凶悪な俊平役のビートたけしは、
これが地なのかと錯覚するような迫力があったし、
濱田マリが存在感のある役どころで
結構面白い映画でした。

ezu