劇場公開日 2004年11月6日

血と骨 : 映画評論・批評

2004年11月1日更新

2004年11月6日より丸の内プラゼールほか全国松竹・東急系にてロードショー

崔洋一監督が壮絶な生を描く入魂作、なのだが…

“入魂”そんな言葉が似合う崔洋一監督の力作である。題材は、“性と暴力”によって混乱の時代を生き抜いた在日朝鮮人の壮絶な生き様。主人公を演じるのはビートたけし。鈴木京香やオダギリジョーなど、豪華キャストも集まった。だが、ちょっと力が入り過ぎてしまったようだ。肉親にも容赦なく暴力を振るい、腐らせた豚の生肉をかっ食らうという金俊平の強烈なキャラクター描写に力が入り、「なぜ彼は暴力を振るうのか?」「なぜ彼は、“わしの骨だ”という息子を執拗なまでに欲するのか?」など、凶暴性のウラにある彼の孤独や愛し方を知らない不器用さまでは描き切れなかった。

もともと原作は上・下2巻に渡る大作である。戦前・戦後という混とんとした日本の背景を描きつつ、1本の映画に収めるには無理がある。せめて登場人物を減らせばよかったのだろうが、減らすどころか下手に知名度のある俳優を起用したばかりに、それぞれの見せ場を作るなど気を遣ってしまったのだろう。そのため、個々の人物像が中途半端になってしまった。どうせなら、「キル・ビル」方式に前編・後編に分けて、その分みっちり濃厚に作れなかったか。力のある監督&キャスト&原作の、夢の競演だっただけに悔やまれる。

(中山治美)

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