カポーティのレビュー・感想・評価
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知らないと退屈かな
著名な作家の人生を描いたノンフィクション作品。
主人公は逮捕された2人の殺人鬼の話をもとに小説を書こうと目論む。
そのため、力になりたいと接近するが目的は印税。そういう卑しい部分のある人物だった。
が、意外に純粋な殺人鬼に「親友」と信じられ、頼られるうち、
自分と生い立ちが似ていることもあり、少しずつ感情移入してしまう。
結果的にこの殺人鬼は死刑となり、カポーティ自身がそれを見取ることになってしまう。
この一連の事件で精神的におかしくなったか、作家としてのカポーティは終わった。
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このカポーティ自身を知らないこともあり、また軽蔑すべき人間のため、あまり感情移入できなかった。
史実をもとにした映画ってこうなると退屈なだけになってしまう・・
深淵を覗く時
有名作家トルーマンカポーティの傑作「冷血」。
読んだことないけど、名前は聞いたことなるなくらいの前知識。
とにかくフィリップシーモアホフマンが見たくて鑑賞しました。
カポーティ本人の動画と見比べたけど、ホフマン本当そっくり!
細かい動作完コピですね。
さすがホフマン。
カポーティは冷血の執筆活動を通して、自分の中にある醜い闇の部分を見てしまったのですね。
物語のラストで見せる抜け殻のようなカポーティ。
自分の作品や名声のために、人の死を望む。
これ以上の闇はないんじゃないかなと思います。
自分に置き換えても、大なり小なり自分の嫌な部分を知ってヘコむなんてことわりとあるなーと思ったり。
色々と考えさせられるいい作品でした。
混乱に陥る
「冷血」とは罪のない家族を四人も殺した犯人達なのか、それとも。
見ているうちにトゥルーマンの真意がどこにあるのかわからなくなる。
彼らを救いたいのか、そうでないのか。もしくは単に作品を書くための道具でしかないのか、本当に友情を築こうとしているのか。
見ている私たちだけが混乱しているのではない。
トゥルーマン自身も混乱しているのだと思った。
彼は人前に出ると軽口を叩く。
ほんの少し真意を乗せて残りはオブラートにくるむ。
しかし自身の作品に対しては真摯だ。
だからこそペリーの刑執行に立ち会ったのだろう。
作品の完成に渇望しながら友人には生きてい居てほしいという葛藤の中その瞬間を見守り、遂に心に深い傷を負ってしまったのではないだろうか。
トゥルーマンはアダルトチルドレンだったと思う。
当時は数少ないゲイのカミングアウト者でヤク中でアル中。
作中出てくる「同じ家に生まれ、正面玄関から出て行ったのが自分で、裏口から出て行ったのが彼だ」というセリフは彼ら二人を見事に言い表している。
映画上の演出かわからないがペリーには絵の才能があった。
トゥルーマンのそれの様に環境とチャンスさえあればペリーにも違う人生があったのだ。
私は前情報を仕入れずに観賞した。
なのでエンドロールでフィリップ・シーモア・ホフマンと出てきて驚いた。
マネーボールのあの頑固な監督!?
トゥルーマン・カポーティの動く姿はおろか肉声も聞いたことがないので似ているかはわからないが、そんな人間にも圧倒的な説得力でカポーティを演じていたと思う。
完全に完全な余談だが、私はトゥルーマンの喋り方がローリー寺西に似てるな、と思ってから少し雑音に変わった。
作品完成か個人的好意か、作者の葛藤
総合:65点
ストーリー: 65
キャスト: 70
演出: 70
ビジュアル: 65
音楽: 70
自分の作品完成のために刑務所にいる犯人に近づき信頼を得る主人公。犯人の一人に好意を抱くようになりつつも、作品完成のために犯人に早く処刑されて欲しいと思う矛盾した心の葛藤を描いている。主人公の立場にたって、犯人が処刑されて思わず心が安堵するという本音をいったいどう処理すべきかという、作品制作の裏にある邪な心理の動きが楽しめる。
しかし作品として事件や犯人の事情についてもっと描いても良かったと思う。せっかくの凶悪犯罪であるのに、主人公の取材と心理の描写だけはもったいない。
肝心な部分を描かない表現
見終わった直ぐにわけが分からなくてもう一度見直したけどなお分からない。
なぜ成功した彼がこの殺人事件に引き込まれたのか。
なぜこの事件を境に執筆活動が手に付かなくなったのか。
言い方は悪いかもしれないけどよくありそうな殺人事件で、
お金を欲しさに勢い余って殺すつもりも無い人を殺してしまう犯人に
どういった感情移入をしてしまったのか。
そこ濁す事で誰にでも有り得る話にしたかったのじゃないかと思うけど、
もう少し色んなものをリンクさせて欲しいと思う自分は
まだまだ想像力と映画から感じ取る力が足りないと思う作品やった。
理解しきれず
自らの執筆のために犯人を利用し、割り切っている感すらあったカポーティに、以後、筆を絶つほどの心境の変化がどのように起こったのか、残念ながら自分には掴みきれなかった。
ついに犯行時の心境について聞くことができたが、むしろ特別な理由もなくその凶行に及んだ事実を知り、その深さに衝撃を受けたということ?
または、犯人に感情移入し過ぎて、目の当たりにした死刑執行の衝撃が大きかった?
そもそも、セレブだったカポーティがなぜこの事件に興味を持って取材を開始したのかというきっかけ部分についても特に描かれていない。
役者に関しては、カポーティを演じたフィリップ・シーモア・ホフマンの粘着質の声が癖になりそう。アカデミー主演男優賞も納得。
犯人役のクリフトン・コリンズ・Jrも雰囲気があって良かった。
フィリップ・シーモア・ホフマン!!
カポーティの生き写しの演技を披露したと言われるフィリップ・シーモア・ホフマン。
カポーティの話し方は個性的で言葉は悪いですが彼に関わった人はちょっと気持ち悪い人だと感じると思います。
その特徴を見事に演じたからこそオスカーに選ばれたんでしょうね。
カポーティが「冷血」に注ぐ情熱は異常で犯人に殺害の状況を聞きだすため彼に取り入ります。その取り入り方がきたないというか非人道的で見てる人は苛立ちを覚えると思います。ただそこに彼の頭の良さがあるんですけどね。
彼は「冷血」の意味を犯行の冷血さだと言っていますが僕はカポーティ自身も冷血な人間だと感じました。
僕は「冷血」を読んでないですがこの作品を見て読んでみようと思いました。
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