ブロークバック・マウンテンのレビュー・感想・評価
全74件中、1~20件目を表示
足りなかったもの、潔さ
1960年代、キリスト教文化圏、保守性の強く男性性を強く求められる田舎。
そこで生きることは不器用なイニスにはとても苦しいことだったのだろう。
父親が見せつけた「同性愛者の末路」に対してイニスはトラウマを抱えている。
そうした同性愛の感情と社会的な役割、家族や文化から提示される理想像の中で歪に組み上がったイニスは屈強で雄々しい風貌や振る舞いに反して非常に繊細な面を多々見せる。
この演技力は流石あのジョーカーを演じた男、というだけある。
一方で比較的奔放な性格のジャックは自分の欲求に正直で、そのために争ったり強かに立ち回るロマンチックかつセクシーな振る舞いも流石。
2人が出会い、互いに意識しながら一方は相手を直視できずに盗み見る様とじっと熱い視線を送る様子は象徴的に対比して表現されている。
ブロークバック・マウンテンの美しく雄大な大自然も男二人の開放された精神性を見事に反映しているかのよう。
物語は、端的に言えば「男二人が身勝手な愛でお互いと周囲と自分(主にイニス)を傷付け倒したお話」でしかない。
裏切られ続けたアルマが本当に不憫でならない。
その1点で主人公2人の株が暴落待ったなしでこの映画が好きになれない。
時代が許さなかった。
周囲が許さなかった。
と男二人の恋路の険しさが強調されるように語られるが、作中では同性愛者たちが”かなり上手く立ち回っている”のがハッキリと分かる。
主人公のイニス(ヒース)とジャック(ギレンホール)は2人共結婚しているし、子供も作っている。
イニスは妻との離婚後にはウェイトレスともいい感じになっている。
ジャックもバーで男と知り合ってるし、その他にも出会いはあった模様。
農場の共同経営者としてイニスの後任も用意できている。
ジャックは何度もイニスと共にチャンスを掴もうとした。
それに対してイニスは怯えて差し出される手を振り払い続け、それでいてそれをキッパリと捨てきれずにアルマを裏切り続けていった。
大人になった娘との対話シーンでは離婚し、多くを望まず、ここが自分に丁度いい場所だとトレーラーハウス暮らしに落ち着いたイニス。
ジャックのシャツを抱いた最後のシーン、イニスは後悔しているのだろうか?
感想を書くにあたり、監督のインタビュー記事を拝読。
監督の考えは主人公2人がゲイであることを特別視している様子もなく、それはヒースのインタビューからも同様のことが読み取れる。
2人共「普遍的な愛を描いた物語だ」としているので、その点は非常に共感できた。
仲の良い友達同士で、 ハイなテンションな時や、 だいぶ酔っぱらった...
仲の良い友達同士で、
ハイなテンションな時や、
だいぶ酔っぱらった時で、
同性愛者じゃなくても、
変な気分になることってわからなくもないかな。
同性に対し、もしもこいつが女だったらって考えたこと、
あるでしょ、
すぐに打ち消すけどw
自分はのんけなので笑い話ネタですむが、
本気な人には笑えない話だよね。
当時の同性愛者に対し、
世間が寛容じゃない時代で、
それでも自分たちの愛をつらぬき、
同時に関わりのある人たちを傷つけ、
それでも生きていくしかない、
切ない話でした。
愛にもだえるヒース・レジャーの切なさ、
この役者さんがバットマンで
いかれたジョーカーを演じていたのかと思うと
ギャップ萌えを感じます。
バットマンまた見よ
愛は性別をも超える。 愛には様々な種類がある。 私は同性愛者ではな...
愛は性別をも超える。
愛には様々な種類がある。
私は同性愛者ではないが、人を熱烈に愛したことがある。
本作はストーリーだけでなく、風景や演出も見応えがあって大好きな作品。
僕たちにあるのは、ただブロークバック・マウンテンだけ‼️
この作品は映画史上最高のラブ・ストーリーの一本‼️そして最高の同性愛のラブ・ストーリー‼️そして最高のLGBT映画‼️そして最高の現代の西部劇‼️そしてアン・リー監督の最高の映画‼️イニスとジャックという二人のカウボーイの20年にわたる切ない愛の物語‼️多分主演の二人がヒース・レジャーとジェイク・ギレンホールだったからこそ、こんなにも美しく普遍的な同性愛のラブストーリーが成立したのでしょう‼️本当にあのジョーカーかと疑ってしまうくらい、無口にナイーヴにジャックへの愛を表現するヒース・レジャーのイニスはホント素晴らしい‼️ラスト、ジャックのクローゼットの中に2人のシャツが重なっているのを見ての言葉「ジャック、誓うよ・・・」涙が止まりませんでした‼️そして対照的にイニスへの愛をオープンに、情熱的に見せつけるジェイク・ギレンホールのジャック‼️イニスが離婚したと聞いて、嬉々としてイニスを訪ねるも拒否られるジャックの哀愁ぶりが印象的‼️そしてジャックがリンチされて殺されてしまう衝撃の展開は、同性愛への差別意識への強烈な糾弾となっているのでしょう‼️イニスの妻に扮するミシェル・ウィリアムズも夫の秘密を知って一人で苦悩するお姿が素晴らしかった、美しかった‼️アコースティック・ギターのカントリーの旋律も西部の哀愁を漂わせて素敵‼️そしてイニスとジャックの心を癒す楽園としてのブロークバック・マウンテンの雄大な大自然は、観ている我々の心も癒してくれる‼️いやぁアン・リー監督、グッジョブですよ‼️
目が語ること
同性愛が罰される頃の男性同士の純愛物語。といっても、世間にバレないように女性と結婚するし、年に数回の逢瀬だけで、あまり大きな展開はない。本当に好きな人と、人目のない山の中で過ごし、また偽りの自分に戻っていく。そうやってごまかして暮らしていても、妻は自分が愛されてないと気付くし、家庭は冷えて破綻していく。誰も幸せになれない。あー、暗い。しかたないけど暗いよ!
イニスがもう少し優しいといいんだけどな。アルマへの態度ひどいよ。私だってあんなひどいこと言われたら傷つくよ。不器用なんだろうが、言い方が…と思いながら見ていた。なんだか自分のことだけでいっぱいいっぱいで、大事な人でさえ思いやれる余裕ないみたい。対してジャックの愛情は、たぶんイニスより深い。シャツが物語っている。イニスは失ってようやく、彼の気持ちに気付くことができた。遅かったのかもしれないが、でも全身全霊で彼に向き合えるのは、幸せなのかも。
言葉にできない気持ちは、目で語るしかない。登場人物みんなが、セリフ以外の言葉を語っていた。
BS12の放送を録画で視聴。
ひたすら切ない
事前情報なしで鑑賞しました
何で惹かれ合うようになった2人なのかわからず、中盤まではちょっと退屈に思いながら観ていました
なのでイニスの奥さんへの態度が冷たく思えて奥さんが可哀想でした
普通ならお互い奥さんがいる者同士で立派な不倫だけど、男同士だからか、なぜかわからないけど純愛に思えてしまう不思議
ジャックのイニスを見つめる目に切なさがいっぱいで、イニスの不器用さも切なくて、途中から2人の相手を想う切なさに観ているこっちも切なくて
去っていくイニスを見送るジャック、あの瞳に切なさがいっぱいなんです
何であんなにイニスは不器用なんだろうと、大切な娘にすら不器用で距離を置こうとしたり
ただラスト近くでは娘とちゃんと向き合ってくれて良かったです
ストレートに想いをぶつけるジャックと不器用なイニス
雄大な自然の中でだけ本当の自分達になって幸せな時間を過ごせていた2人
ジャックの両親はジャックとイニスの事をわかっていたように思いました
ジャックのお母さんの「また来てね」、息子に対する母の愛を感じました
2人のシャツを抱きしめるイニスに涙ポロポロでした
レビューをまとめながらまた涙
こんなに泣かされるとは思ってなくて、本当に良い作品で観て良かったです
今までの恋愛映画のなかで切なさNO.1と思います
ブロークバック・マウンテンが俺たちを呼ぶ
20年間に渡る男同士の愛と友情
1963年の放牧夫として出会ったイニス(ヒース・レジャー)と、
ジャック(ジェイク・ギレンホール)
1983年にジャックが事故死するまでその愛と友情は続く。
2005年作のこの映画は観たとき強烈な印象を受けました。
お互いに妻子がありながら、ブロークバックの山と山で過ごした日々を
強烈に反芻するイニスとジャック。
ゲイの男同士の愛を描いた映画は、11997年のウォン・カーヴァイ監督作の
「ブエノスアイレス」を観ていました。
そして1987年作のジェームズ・アイボリー監督の「モーリス」
そのどれもが男女の愛より一層、禁断の愛であることで、
より不幸でありドラマティックです。
「ブロークバック・マウンテン」の険しい山と自然そして数万頭の羊たち。
自然を背景にしたことでより映像は美しい。
ゲイの映画はフランソワ・オゾンやグザヴィエ・ドランにより受け継がれるが、
ドランの映画はどれも重苦しい。
ゲイが重荷であり負の側面を未だに持つように思える。
現実に入籍して結婚生活を送る一般の人々の方が幸せそうに見える。
イニスはジャックの「2人で小さな牧場をやって暮らそう」という
提案を拒絶する。
ゲイ・カップルは世界から許される訳がない。
イニスは硬く信じている
死んだジャックの洋服入れから、イニスのシャツにジャックのシャツを重ねたモノを
みつけて涙するイニス。
何が2人をそんなにも結び付けたのか?
頑なに愛を貫いたイニス。
愛と孤独が痛かった。
友情の延長線なのだろうか…複雑な心境が絡み合う正解の見えないストーリー
本作品のテーマに少々ひるみ、15年もの間後回しにしていたが、いよいよ鑑賞。
観終えて最初の感想は、これは相当難しい作品だということ。登場人物全員心境が本当に複雑で、本心は何なのか、または本人達も本心がわからないのか、どうなればハッピーエンドだったのか、どの立場から本作品を観れば良いのか…単純に理解できるストーリーではない。
そしてヒース・レジャーの事故、本当に残念だ。観ていて心が迷走してしまった。
でもこのコメントを書きながら、空のきれいな映画だったな、と今まで全くなじみのなかったワイオミング州に思いを馳せた。
相手を包み込むように自分のシャツを上に重ねる
ブロークバックの青空と大きな美しい雲と眩しい光が二人の出会いを祝福しているようだった。雲の形や空の色を様々に変化させながら二人を見守りその風景はいつも二人の心の中にあった。二人とも空を見上げながら山と水と木々に囲まれて共に過ごせる時だけが幸せで充実していた。
ヒース・レジャー、眼と涙が本当に美しい、不器用で真面目な男の20年間を髪型、目の下のそばかすやちょっとした皺などの変化、変わらない繊細さを素晴らしく演じた。イニスとジャックのそれぞれの妻、イニスの長女、ジャックの両親が二人のことをわかっている、わかっているけれどあえて言わない・・・も含めて良かった。見てみぬふり、という感覚はどこにでもあるんだな。言葉数が少ないから「またいつか」とあっさり別れてから、嗚咽して涙流してひどく苦しむイニス=ヒースに心が震えた。そして2回目鑑賞。シャツの最初(ジャックの部屋)と2番目(イニスのクローゼツト)で重ね方の違いに相手への思いを感じて胸が痛かった。不器用なイニスが話す前の口ごもりが愛おしくてたまらない。
同性愛とかゲイとかそういうジャンル分けはこの映画にそぐわないと思う。二人が出会う前のそれぞれの家族や周囲の考え方や貧しさや居場所の無さや孤独など色んなことが重なって、仕事やお金の為に携わった役割と季節と場所で偶然出会った若い二人。男同士で気楽、役割分担できて頼もしい、一緒に居てほっとする、子どもみたいにじゃれあえる、それだけ。それ以上でもそれ以下でもない。ヒース・レジャーに会えて嬉しかった。
多様性などなかった時代
アメリカの自然の美しさと荒涼たる大地の対比が男二人の理想と現実のギャップであるように感じられる。美しくも儚い素晴らしい描写と脚本だった。
主演二人の関係を描くだけではなく、生きることや家族に感する投げかけなど見所は多かった。
後半のヒース・レジャーが漂わせる哀愁は圧巻で、若くして世を去ったことが残念でならない。
鬱屈した若者の暴走からの純愛
金なし、仕事無しのカウボーイがとある仕事をきっかけに共同生活をし、同性愛に走る。といっても時代が時代なのでそれを大っぴらにできず、出会った山でのみ会うという物語。
ヒースが保守的なだけでなく、仕事も器用ではなく、金運もない。こんな男に好きになるジャック。相手が悪かったのか、運命なのか。
せつないラブストーリー
季節労働者のイニス(ヒース・レジャー)とジャック(ジェイク・ギレンホール)は男同士で愛し合うようになる。
別れたあとイニスはアルマ(ミシェル・ウィリアムズ)と、ジャックはラリーン(アン・ハサウェイ)と結婚し家庭を持つ。
しばらくして二人は人目を避け、年に数度ブロークバック・マウンテンで会うようになるが・・・。
ゲイ差別を怖れながら愛を貫こうとする二人が痛々しい。
古い私にはなかなか感情移入出来ない世界で…
キネマ旬報ベスト4作品とのことで鑑賞。
二人の心の軌跡に対象を絞り、
その人生を丁寧に描いた作品だった。
時代的な意味を持つ作品だろう。
現代のようにLGBTの市民権が
ある程度浸透した社会では、ここまで二人を
追い詰めることも無かったとは思う。
しかし、別の観点からは
問題を感じざるを得なかった。
仮に時代を現代に置き換え、
LGBTの問題ではないとしても、
彼らの愛情は明らかに“不倫”であり、
妻への、家族への、背信行為である。
そもそもが私には解らない。
異性と家庭を営み、子供を設けていながら、
同時に同性と肉体関係を含む愛情を持ち得る
ものなのか。
彼への愛情をカモフラージュするための結婚
だったとしたら、より罪深い。
そこを時代的な背景とするのだとは思うが、
それでも、現代の私には、
やはり伴侶との関係に決着をつけてからの
次へのステップとすべきだった
と思わざるを得ない。
また、映画表現としては、
二人の20年間での“老い”の描写が不充分で
違和感を感じてしまった。
髭だけではなく、もっと徹底した
メイキャップを期待したかった。
ストーリーとしても、そのことで
新たな異性への展開によりリアリティのある
要素が加わったと思うが。
そんなリアリティ消失感と
自分なりの古い感覚がガードして、
主役の二人への感情移入の出来ない
鑑賞になってしまった分、
この高い評価作品から私の感動を
遠ざけてしまったような気がする。
ヒースレジャー
とジェイク共演の切ない恋の話。誰もが知ってる名作。
亡きヒースの演技とギレンホールがぶつかり真っ向から演技勝負。ヒースの言葉垂らすは表情でかたる。
ラストは切なすぎるけど、間違いなく名作。
全74件中、1~20件目を表示