「自己より皆のこと」ブレイブ ストーリー odeoonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
自己より皆のこと
不倫し離婚して家を去る父、悲観してガス自殺する母、そんな不幸な人生、病院にいる母を助けたいと異世界に行く少年ワタルの冒険ファンタジー。転校生の芦川が建設途中の幽霊が出ると噂のビルの中に異世界への扉が有り扉の向こうへ行くと運命を変えられるとワタルに教えたことから冒険が始まる。異世界は幻界(ヴィジョン)と魔界があり複雑怪奇、陸地としては南北2大陸と島々、様々な生き物がいる、現世の人間と同じアンカ族、トカゲ型の水人族、猫型のネ族、鳥型のカルラ族、ウサギのような飛足族、アンカ族に似ているが異様に小柄なパン族、竜の一族、そのほかの動物に似た獣人族がいる。北の帝国政府および老神信者は、アンカ族至上主義を取り、他人種を差別し迫害している。魔界には魔族が閉じ込められている。先に異世界に来た芦川はミツルという魔導士になり願いが叶う女神が居る運命の塔に行くための秘石を集めている。ワタルは先住民や生物の助けを受け、見習い勇者となり、ミツルの後を追う。ミツルが最後の石を手に入れる為、魔界の封印を解いたので幻界は魔族の襲撃を受け大混乱。ミツルがそうまでして変えたかった裏には、母の不倫が原因で、父が妻と幼かった妹を殺し、自らも海に飛び込み無理心中したという、ワタルよりも残酷な過去。ミツルはワタルより先に運命の塔へたどり着いたが、最後の試練として自分自身の憎しみから生み出された「分身(ダブル)」と戦って瀕死の重傷を負い、ワタルに見取られて妹の魂と思われる光と共に天へと昇っていった。いよいよワタルの番だがなんと女神に願ったのは家庭崩壊の修復でなく、幻界を襲う魔族の殲滅、平穏を取り戻すことでした。自己より皆のことを願うあたりはいかにも宮部みゆきさんらしいオチでしたね。叶う願いは一つの筈だったのにラストで現世に戻り母と元気に暮らすワタルや妹と一緒の芦川など完璧なハッピーエンドには驚き。
2時間近い濃厚な冒険ファンタジー大作でした。
