劇場公開日 2006年7月8日

ブレイブ ストーリー : 映画評論・批評

2006年7月4日更新

2006年7月8日よりサロンパス・ルーブル丸の内ほか全国松竹・東急系にてロードショー

これから始まる人生への苦い諦観を映す「幻視」の旅

正直、TVシリーズのダイジェスト版にも似た性急さを感じる作品だ。ほとんどロールプレイング・ゲーム的といっていい展開は深みと必然性に欠けるが、それはまぁいい。でも主人公ワタルらの辿る冒険行の途上を、たった1曲の挿入歌が流れるうちにあっけらかんと処理してしまうのは、思いっきりはいいものの勿体なさ過ぎる感じはする(むしろ「TVシリーズ化も可能」というほのめかしかも知れない)。それにだ。すでにCGがごく普通のものになったアニメーション表現において、セル画的2Dと典型的な3D-CGとの無頓着な融合は、やや美学的な疑問を感じざるを得ないものではある。

もっともこれは筆者が宮部みゆきの熱狂的ファンでもなく(原作は未読であるのをお断りしておく)、GONZOのビジュアル・プランに今ひとつ馴染めないからであって、それをさし引いても、隅々まで力のこもった力作であることには違いない。地上的世界(“大人のセックスが統べる世界=社会”といっていい)を拒絶する“無垢”な魂が、宇宙の理(ことわり)=非情な因果律を受容するに至るまでの精神的旅程を、抽象的かつ具体的に絵解きして、最後には感涙さえ呼び起こすのだ!

すなわちこれは、これから始まる人生への、ほのかに苦い諦観を映す「幻視」の旅。少年たちの訪れる扉の向こうの世界が「ヴィジョン」と呼ばれるのもそうした所以なのだろう。

(ミルクマン斉藤)

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