「最後の最後まで温かい父の愛の大きさ」ビッグ・フィッシュ もしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
最後の最後まで温かい父の愛の大きさ
ずっと身損ねていたのをようやく…みました。
感動しました。後からしったのですが、ビッグフィッシュって、「ホラ噺」的な意味合いもあるみたいですね。
最初はなんのこっちゃわからないながら、映像の美しさと次々とおこるファンタジーなホラ噺がとてもよいなー、この世界感くらいに思っていました。
街での巨人の件とか、サーカスでの妻との出会いの件とか、もう本当にファンタジーでしかないですよね。
妻を射止めた水仙一面の映像や最後の靄がかかった川を魚が飛び跳ねて行くシーンとか、本当に印象深い映像の多いファンタジーでした。しかも一個一個のホラ噺がもう面白い。そんなことあるわけねーじゃんって思いながら、話に引き込まれる。ウィルが自分の結婚式ですら父のホラ噺で会場を沸かせて主役になってしまう姿に怒りを覚えて、二人の関係がこじれるけど、父の危篤に際して再会をして、そこから…みたいな話ですが、ウィルの現実的に物事を捉える感じとエドワードのおとぎ話のコントラストがなお対象的で、現実世界でみているこっちをその葛藤に引き込む感じも、より物語に入り込んでしまう要素だったんでしょうかね。
ウィルは子供の頃、父があまり家にいなくて、他の生活を送っているのではないかと疑いをかけ、その上そういった事件もあり、父のおとぎ話に嫌気がさしていたのでしょう。印象的だったのは、ウィルが父の本当のことを聞こうと会話を仕掛けるシーンで結局はぐらかされて、「ホラ噺は子供は喜ぶかもしれないけど、20や30にもなってもよろこんでられない」と話すシーン。対象的に妻は父の話が好きで…。大好きだった父のホラ噺に嫌気がさすほど、ウィルにとって父の存在に嫌気がさしていたのでしょう。
その後、書斎をつくるために、色々な整理をしていく中で戦死の通報や証書など、ホラ噺を裏付ける物がみつかり、証書の内容を確かめようと現地に。その街は…。
父の人生に嘘がなく、妻子を愛していたことを深く知り、父の最期には、父のホラ噺を息子が作り上げる…。お葬式にはホラ噺の登場人物たちが…。
子は親の愛には築けなかったりするし、親は子にどう伝えて良いのかわからないものだし、お互いそれを気付けず永遠の別れをする…なんてこと普通にあることだと思うのですが、それを最後の最後で2人が感じることができたというのが、本当によかったです。ティムバートン…本当にハッピーエンドありがとうって感じです。
父と子の深いテーマをファンタジーの世界で作りきった秀作です、いや本当に。
最後に、みんなを楽しませようと話を膨らませるエドワード。多くの人に愛情をもつからこそ、多くの人を楽しませようと思ったのでしょうね。こういう嘘とか脚色って悪くないな…と感じました。
本当に心温まる、映像も素敵な映画に出会えてよかったです。