「にじみ出るスペイシーの愛情」ビヨンド the シー 夢見るように歌えば The Dudeさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0にじみ出るスペイシーの愛情

2007年10月10日

見ようによっては怪作だ。スペイシーは30代後半で逝去したボビー・ダーリンを演じるには老けすぎているし、ボブ・ホスキンスが20代を演じるという無茶まである。ボビー・ダーリンが自身の少年時代と問答するという構成も見る人によってはナンセンスで不快だろう。

 でも、しかし、このスペイシーのダーリンの人生への愛情は本物だ。複雑な出生による自己喪失やサンドラ・ディーへの深い想いを演じるスペイシーは似ていなくともダーリンその人だ。ナマ唄で勝負する根性と役者ぶりは吹き替えに頼った『レイ』のジェイミー・フォックスよりも素晴らしい。そんなスペイシーの愛情を見ているだけで、たくさんあるこの映画のアラも許せてしまう。

 あと、ボズワース扮するサンドラ・ディー、可憐でした。互いに想い合っているのに幸せになれぬのは哀しいことです。

The Dude